北海道大学 病院経営アドミニストレーター育成拠点 産学官連携マネジメント論2018(分担:地域医療と産学官連携)
(北海道大学大学院学生・社会人受講生)
講義終了後に追記しています この表記のように黄色の背景の部分が該当します |
受講生の印象に残ったキーワード集計結果 表記ゆれは私の感性により処理し, 指標は20点満点で正規化しております
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授業メニュー
第1,2回 薬局からみた産学官連携
第3,4回 地域医療と産学官連携
第5回 産学官連携と知財管理
第6~8回 産学官連携を基本とする新規事業プランニング演習
第3,4回 地域医療と産学官連携
到達目標3−1産学官連携を理解する
3−2地域医療が抱える問題について考えることが出来る
3−3医療施設における連携の必要性について考えを述べることが出来る
自己紹介
自己紹介ですが,講義テーマの医療,地域,産学官というまとめ方で
おしい。転勤する人の多い官舎で育ったから色々混ざっているんだろう。私の親は転勤無かったが【方言チャート100】http://t.co/fVPWzrYPvU
— めどぶぶ (@medbb) 2015年7月6日
鑑定結果は、山口県(長州)でした。pic.twitter.com/AkMXQ7cIe6
東京女子大学篠崎ゼミxジャパンナレッジ
色々な人に一緒に遊んでもらっていました.転勤で居なくなってしまいその後会う機会もなく
日本臨床検査自動化学会会誌11巻 1号(メディカルオンライン)
https://mol.medicalonline.jp/archive/search?jo=cl0rikej&vo=11&nu=1
血清分離補助具を考案したのは知っていたのですが,それはシステム全体の話の一部だったことなど知りませんでした.
地域医療支援センターの話は以下
県立医科大学に県費奨学生配置センターを設置します(奈良県)
http://www.pref.nara.jp/item/108715.htm
医療機関における医療情報担当の実務が多岐にわたるのと同じことかなと
2.医療における産学官連携
矢印は私が経験した産学連携
以下,その概要です
この時期は大学院生であり,病院でも非常勤で.
コチラのエピソードはその後RF-IDを用いた研究の時の話です.電波を利用したシステムでエラーデータが発生するので解釈に悩まされました
情熱を持って取り組まれる方です.故に貴重なデータをたくさん取得できました.
特許出願までという話ですが
先程の病院には今でも時々出勤していますが,情報システムも運用も今ではわからないことだらけで
奈良医大の産学官連携にMBT構想があります
事業概要(MBT(医学を基礎とするまちづくり)研究所 奈良県立医科大学)
http://www.naramed-u.ac.jp/university/kanrenshisetsu/mbt/jigyogaiyo-taisezu.html
医学部の場合【学】は【産】の役割を持っていますし,自治体立病院も【産】に【官】の話も入るわけで,奈良医大は全ての属性を有することになってしまう
追記 産学官の事を例えて三方よしとお話ししましたが,本当の意味合いは以下のとおりです 近江商人と三方よし(伊藤忠商事株式会社) https://www.itochu.co.jp/ja/about/history/oumi.html |
3.地域医療の抱える問題と課題
地域医療学に関する私の解釈です
追記 講義中に紹介したスライドはコチラ (地域と医療の統合に資する 情報活用の考え方 −不足の観点からみる医療2.10− より) |
地面(地域の区画)を確認してからそこにいる人をみる感じと,そこにいる人を確認してから地面(地域)を見る感じの違い
追記 丹波地方の話に関するところですが以下の資料をご覧ください 大丹波とは(大丹波観光推進委員会事務局) http://marugoto-daitamba.jp/%E5%A4%A7%E4%B8%B9%E6%B3%A2%E3%81%A8%E3%81%AF/ |
第55回社会保障審議会医療部会 資料(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000184297.html
そこでこの資料を用いて病院経営の観点で解釈する
病院経営課題調査(株式会社日本能率協会総合研究所)
http://jmar-im.com/healthcare/report/
赤の部分が今後の主要テーマに相当する(と私が捉えた)部分
外部要因は一組織で解決することは困難であり連携が求められる
PESTにより分類
そこで社会的(S)に該当する(と捉えた)部分を赤で囲んでいます
4.産学官連携がもたらす課題解決
地域医療充実のための臨床研修改革に取り組んで( 週刊医学界新聞第2894号 2010年9月6日 医学書院)
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02894_04
公平(均一)ではなく均質なプログラム設定 → 手間がかかるものの顔の見える関係になる
県内に広げることで臨床研修病院の「現場の連携」に→地域を皆で考える
データの出典元:医師臨床研修マッチング協議会
https://www.jrmp.jp/
コチラに関する奈良県ケースですが映像で紹介します
新しくなる南和の医療〜南奈良総合医療センター開院を迎えて〜 (奈良!そこが知りたい 奈良県)
http://www.pref.nara.jp/42501.htm
経緯に関しては南和広域医療企業団のページに掲載されています
南和医療圏の現状(南和広域医療企業団)
http://nanwairyou.jp/about/iryoken/status.html
追記 徳島県の話を例として上げましたが,徳島県立中央病院と徳島大学病院のことです 敷地一体化、2018年度末 徳島・徳大病院と県立中央病院(徳島新聞) https://www.topics.or.jp/articles/-/10284 奈良県の人口分布に関するtweet
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県立医大医師派遣センターによる医師派遣について平成29年7月(奈良県医師配置評価委員会)
http://www.pref.nara.jp/secure/157181/H28hyoukasyo.pdf
地域医療学講座として開院時における必要医師数について企業団(企業組合)と連携しながら検討
平成27年度医療施設経営安定化推進事業(厚生労働省)「医療法人と自治体病院等との連携の状況に関する調査研究」報告書において
示されていた「機能分化・連携パターン」との比較
矢印部分が該当
平成27年度医療施設経営安定化推進事業(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000209537.html
5.医療機関が地域と連携するには
先程示していた外部環境に属さないものの社会的要因に分類された経営課題
奈良県の2例はそれぞれ【学】【官】から始まった連携
機能再編に関するところでの問題点として「患者や地域住民等の理解」が課題として挙げられている
南奈良の件に関しては企業団の職員が丁寧に地域の住民の方々と話をしていた.
地域連携の取り組みとして興味深い例として岡山県にある「倉敷中央病院」をここでは取り上げます.
発端は【学】岡山大学大学院の取り組みで倉敷中央病院のある地域を題材にGDを実施 → かなりショッキングな結果
地域創生ネットワーク・アゴラの活動について(岡山大学大学院社会文化科学研究科)
http://www.okayama-u.ac.jp/user/hss/education/agora.html
アゴラin倉敷「倉敷中央病院と倉敷のまちづくりの協働の可能性」グループディスカッション資料
http://www.okayama-u.ac.jp/user/hss/up_load_files/agora/20120526agora.pdf
このことを発端として地域連携室が広報的な役割を発揮し,近隣の問題を共有する病院と連携
わがまち健康プロジェクト
http://www.wagapro.net/index.html
この取り組みをそのまま他地域で実施しても上手くいく可能性は?
自地域の医療提供体制の状況,行政との良好な関係など地域特性を整理した上で進めている印象
倉敷中央病院および倉敷市の医療提供の過去からわかる資料
倉敷中央病院で講演会と施設見学(広島県支部主催国内視察研修)JAHMC2015年4月号(公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会)
https://www.hiroshima.jahmc.or.jp/pdfs/jahmc201504.pdf
「持続的成長をめざして−創立者のおもいの具現化」(大原社会問題研究所雑誌 606号 2009年4月号)
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/606/606-06.pdf
大原社会問題研究所雑誌 606号 2009年4月号(法政大学大原社会問題研究所)
https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/oz/contents/?id=2-001-9000591
追記
なお,講義及び質疑応答では情報や言葉が足らないところがありますので,それぞれ必要に応じて追記しています.講義の最後に時間があれば締めで述べようとしていた事誰しもなにかしら最適化する際に個別なものにならないように苦心していると思いますが,セクターを飛び越えた連携をしなければその枠組みでの個別最適の域を出ないように思います.学内(医科大)における私は,情報の世界からひょっこり顔を出してくる特異な存在故に全体最適に資することを考えなくてはならないのだろうと思っています. 今回講義資料を作成するにあたって,【学】の役割が重要だなぁと思いました.学術的な面から状況を明らかにし納得してもらうことで,物事が進むように思います. そのために医療機関は地域の大学などと顔の見える関係になっておくことが重要に思います.それも医学部に限らず幅広く.地域の大学は地域の活性化等いろいろ考え取り組みをされています. 以下は,地域連携に関するところで以前GWで私が取りまとめて話をした時の記録です. 「専門職間のギャップをどのように埋めるか」をテーマにディスカッションしたものを取りまとめたものです 地域医療フォーラム2017(主催:自治医科大学)にて(Medbb's blog) http://medbb.hatenablog.com/entry/2017/09/18/092417 講義後の質疑応答以下は,私の質問の趣旨の解釈とそれに対する私の考え取りまとめたものです.ご質問頂きありがとうございました Q.初期臨床研修の大学への集中は,専攻医研修の大学病院志向の影響によるものでは?仰る通り近年は専門医制度の話があるので影響があるかもしれません.ご指摘については私自身おっしゃる通りかと思っています.ただ,その論法だけだと大学病院以外のマッチ率が逆の影響を受けることになりかねませんが,奈良県の場合は県内全体でマッチ率が上昇・安定しました. 故に取り上げた産学官の事例は連携することで地域全体に好影響を及ぼしたものと捉えています. <参考> 「大学病院で研修」、初期29.7%、専門69.9%◆Vol.2 (医療維新 m3.com) https://www.m3.com/news/iryoishin/592037 Q.北海道の地域枠は病院が指定されているが,道内であればどこでも良いのではないか?と思いますがいかがでしょうか北海道医師養成確保修学資金貸付条例第一条で本制度の目的は「地域医療を担う医師の養成及び確保を図り、道内における医療の提供体制の充実」とされていますどこでもとなってしまうと偏在の解消を期待できないので,道としての医療の提供体制の充実に寄与できる可能性の低い制度になってしまいます. 故にご質問は達成するにあたっては「公立病院」だけではなく「民間病院」も対象にすべきではないか?というところかと思います. 奈良県におきましても,地域の医療を担っているのは公立病院だけではなく民間病院も地域医療に多大なる貢献をされています. しかしながら,ルールでは公立・公的病院となっています. 例えば三重県のルールでは民間病院も含んでいます. どのような仕組み・運用にするのが一番良いのかは,地域による問題が異なることやそれぞれの特性により様々です. 運用する間に状況は変化しますし様々な問題が発生します.しかも問題として認識する切り口は産学官それそれで異なるように思います. 奈良県の場合は北海道の場合と異なり診療科に関しても制限があります. そのような中で,どのような取り組みをしてきたのか以下記しておきます 奈良県の場合 ルールとしては当初,知事が定める特定診療科を有する医療機関(国,公的医療機関)への勤務(もしくはへき地医療機関)が義務となっていました. 指定する医療機関が役割を果たすことで奈良県内における医療提供はかなり改善されるとの考えによるものと思います. 制度からの離脱については単にお金の問題で解決できるものでもありません.奈良県(奈良医大枠)は入学枠が特別なものでありますし,地域の医療機関のみならず地域住民も本制度による医師を期待しているわけですから そうなると,入学後の奨学生医師のキャリアを寄り添いながら支えていかなくてはいけません. 奨学生医師に寄り添う,県費奨学生配置センターは卒後のキャリア形成に関するところという立て付けでスタートしました. それまでは地域医療学講座がその機能を持っていましたが,役割を明確にしたというところです. 県費奨学生配置センターは,その流れから地域医療学講座教員が兼務しています.加えて病院勤務の経験豊かな看護師も所属しています. 奨学生医師の勤務先病院含めた,将来に関するところの話は学生時代から関わっていくことが必要と捉え,センターが情報交換のできる環境構築を行うような取り組みを行い役割が広がっています. 奨学生の本音(不安であったり将来に対する希望)の部分を安心して話せる環境づくりになればというところです. 病院見学バスツアーを行うなど,将来について知ってもらう機会も用意しています. 特定診療科に関しては奨学生の将来にかなり影響を与えるだけに,苦悩する学生もいますが話す機会を多くすることで納得する選択に繋がるよう取り組んでいます. そのような状況の一方では奈良県内の必要とする医師像も変化していきます.特定診療科の見直しに関しては平成25年に奈良県の医療審議会で取り上げられていました. 大学(地域医療学講座,県費奨学生配置センター)としては特定診療科の見直しは奨学生(医師)の将来の選択肢が広がりますので納得する選択に繋がります. しかしながら,一方で制度を変更するのであれば本来の趣旨および成果がより良いものになることが前提となる必要があります. この難問にどのようにしたら良いのか長きに渡り関係者間で議論がなされました.そして特定診療科以外に特定専攻課程を設け運用することになりました. 平成30年4月より,特定診療科等(小児科,産婦人科,麻酔科,救急科,総合診療)特定専攻課程(総合内科分野,児童精神分野)という格好です. これから先も医療環境の変化に対応した人材育成をどのようにするのか,そしてどのような格好で義務を履行していただくのが良いのかは問題を提起,共有し解決策を模索しなくてはなりません. これは北海道でも同様であり,そのような問題点を整理し解決策についても考えながら議論を深めていくしかないと思っています. <参考資料> 地域枠制度〈北海道医師養成確保修学資金制度〉 (北海道保健福祉部地域医療推進局地域医療課) http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/tiikiwaku.htm 北海道医師養成確保修学資金貸付条例・施行規則 (北海道保健福祉部地域医療推進局地域医療課) http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/tiikiwaku/joureikisoku.htm 緊急医師確保修学資金貸与制度(奈良県医療政策局) http://www.pref.nara.jp/isikangosi/naradr/highschool/emergency.html 三重県医師修学資金貸与者募集【平成30年度】(三重県医療保健部) http://www.pref.mie.lg.jp/IRYOS/HP/oinainet/59773042627.htm 周藤俊治,奨学金制度による地域人材の定着に向けた取り組みについて,大学地域連携研究Vol.5(和歌山大学学術リポジトリ) http://repository.center.wakayama-u.ac.jp/ja/list/recent_addition/item/3471 Q.南和広域医療企業団の収益はどうか今後の見通しは南奈良総合医療センターの収支に関しては以下のサイトをご覧ください.運営状況(南和広域医療企業団) http://nanwairyou.jp/management/ 今後ですが,人口の減少及び年齢構成の変化への対応も出てきます. また医療圏を超えた患者さんの話も考えられます. これは行政と医療機関で異なる「地域」の考え方の話になりますが,医療従事者も「地域」住民も引き寄せられる病院の話かと思います. 再編前は南和医療圏としては他医療圏に流出していた状況だったものが,改善の方向に向かっています.つまり行政と医療機関の捉える南和医療圏の像が近づいてきたことを表わします. これからも変化していきますが,話では出てくることがあるものの何かしらの格好で可視化出来たらと個人的に思っています. Q.倉敷中央病院は地域医療をされなくてもいいと思うのになぜ地域を意識されたのだろうか?地域医療の定義の話になってしまいますが,それは対象とする地域が広範囲に及ぶだけで「地域医療」をされていると捉えています.無論そのような意味で質問されたと解釈していますが,立地している地域を意識されている理由について私は以下のように考えています. 例えば産業の話に置き換えたとき,世界的に大量の機器を製造販売している工場の場合,場合によっては立地している地域住民の方は迷惑に思っておられるかもしれません.都市部にある工場が撤退して他の地域に移っていく話はよくあります. 倉敷中央病院はこの地で医療を提供し続けていくことを大切に考えています.なぜならば,立地している地域の近隣住民の病院の印象を知りショックを受け,問題意識が芽生え取り組みを始めたわけですから. さらに産学官の話に繋げますと【学】と【産】では例えば【官】へのアプローチ等,違いがあると思います.病院主体の抱える問題意識を発端として他の病院を巻き込みながら【官】に届き地域全体をより良いものにしていく流れを作るヒントを示したように思います. それが「医療機関が地域と連携すること」です. そして,この流れが広範囲に広がることは倉敷中央病院としての「地域医療」を実践するにあたって「も」大きな力になると思います Q.医師確保計画について疑問をもっている.三次医療圏について何名?を盛り込む意味があるの?意味の有る無しについては,至った議論について丁寧に解釈したら盛り込む事について意味がある(受け入れられる)と思われるかもしれません.しかしながら例えば現場の立ち位置から考えた場合,異なる文脈で解釈してしまい意味が無いものと判断するかもしれません. 私としてはその数値目標に対して若干外れていたとしても趣旨から外れてなければ良いと個人的に考えています.関係者もそのような理解かなと思っています 医師偏在指標に関するところですが,今年「患者数に基づく人口10万対医師数の補正」のタイトルで発表しました 奈良県内においては,南和医療圏の人口10万対医師数は50ポイント以上上昇し,補正前は県内で一番低かった(5番)医療圏でしたが補正後は4番目になっていました. 先生方の肌感覚ともズレている感じでもありませんでした. ちなみに,都道府県単位でみると東京圏では変動が見られました.3次医療圏単位で算出すると北海道の現状ももう少し把握できていたかと思うのですが・・・ ((患者数に基づく人口10万対医師数の補正(第44回日本診療情報管理学会学術大会)より) <参考> 医師確保計画における医師の確保の方針について(医療従事者の需給に関する検討会資料 第24回医師需給分科会) https://www.mhlw.go.jp/content/10801000/000416894.pdf |