北海道大学 病院経営アドミニストレーター育成拠点 産学官連携マネジメント論2019
(分担:産学官連携とは何か、産学官連携の事例)(北海道大学大学院学生・社会人受講生)

授業メニュー
第1,2回 産学官連携とは何か、産学官連携の事例
第3,4回 薬局・薬剤師の理解と医療との連携
第5,6回 介護・福祉の理解と医療との連携
第7.8回 公的医療機関と地域医療連携の理解

第1,2回 産学官連携とは何か、産学官連携の事例

到達目標
1−1産学官連携を理解する
1−2地域医療が抱える問題について考えることが出来る
1−3医療施設における連携の必要性について考えを述べることが出来る

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自己紹介

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色々な人に一緒に遊んでもらっていました.転勤で居なくなってしまいその後会う機会もなく
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医療情報の人間に必要なのは幅広さと思っておりますが連携も同じと思っています,最近の私ですが・・・

2.本授業の位置付け

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3.連携がもたらすもの

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利用者側の視点では製品(サービス)が品質含め永続的に提供されるかの話
連携を永続的に進めるにあたっては個々の持続可能性を有する必要がある.
地域医療構想において地域医療連携の促進が求められているが,役割分担の話
軸足をどこに置くかだが,過剰に自医療機関を中心に考えると上手くいかないように思う.
状況に応じて必要な役割を果たすイメージが求められる
歴史のある会社も紐解くとその機能は変化している.
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医療業界は産業界に風が吹いて10年後ぐらいに波がやってくることが多いように思うのですが
地域医療構想の話もここでいう旧来型の連携ではなく,新しい事業連携としてとらえなければコストの話で終わってしまう.
企業の存続には,周囲と円滑な関係が必要というのも当然のようにうなづける.
「企業間のネットワークや取引金融機関との良好な関係が倒産回避に役立つ」(橋本2004)

<参考>
第二十四回 地域医療構想に関するワーキンググループ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html
中小企業白書 2005年版(中小企業庁)
https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/h17/hakusho/index.html
橘木俊詔 (ファカルティフェロー) 齋藤隆志,中小企業の存続と倒産に関する実証分析,経済産業研究所ディスカッションペーパー,2004
https://www.rieti.go.jp/jp/publications/summary/04020007.html

4.産学官連携とは何か

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以下 科学技術基本法提案理由説明抜粋(文部科学省)
次に、本法案の主な内容を御説明申し上げます。
第一に、科学技術振興の基本方針として、科学技術が我が国及び人類社会の将来の発展のための基盤であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとっての知的資産であることにかんがみ、研究者等の創造性の発揮を旨として、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、その振興を積極的に行なうこと、広範な分野における均衡のとれた研究開発能力のかん養、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展に留意することを定めております。
第二に、科学技術振興に関する国及び地方公共団体の責務を規定しております。
第三に、国及び地方公共団体による大学等に係る施策の策定等に当たっては、大学等の研究活動の活性化を図るとともに、研究者の自主性の尊重などその研究の特性に配慮することとしております。
第四に、政府は、科学技術の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、科学技術会議の議を経て科学技術基本計画を策定することとしております。
 また、政府は科学技術基本計画について、その実施に関し必要な資金の確保を図るため、必要な措置を講ずるよう努めることとしております。
第五に、国は、多様な研究開発の均衡のとれた推進、研究者、技術者及び研究支援者の確保、研究施設の整備、研究開発に係る情報化の促進、研究開発に係る交流の促進、研究開発に係る資金の効果的使用、研究開発の成果の公開、民間の努力の助長、国際的な交流の推進、科学技術に関する学習の振興等に必要な施策を講ずることとしております。
出典:科学技術基本法提案理由説明(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/kagaku/kihonkei/kihonhou/riyuu.htm


科学技術基本法より
第二条 科学技術の振興は、科学技術が我が国及び人類社会の将来の発展のための基盤であり、科学技術に係る知識の集積が人類にとっての知的資産であることにかんがみ、研究者及び技術者(以下「研究者等」という。)の創造性が十分に発揮されることを旨として、人間の生活、社会及び自然との調和を図りつつ、積極的に行われなければならない。
2 科学技術の振興に当たっては、広範な分野における均衡のとれた研究開発能力の涵養、基礎研究、応用研究及び開発研究の調和のとれた発展並びに国の試験研究機関、大学(大学院を含む。以下同じ。)、民間等の有機的な連携について配慮されなければならず、また、自然科学と人文科学との相互のかかわり合いが科学技術の進歩にとって重要であることにかんがみ、両者の調和のとれた発展について留意されなければならない。


ここでは自分自身が関わったところを紹介します
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大学院の看護の研究室と連携して民間病院の入院病棟でRF-IDタグを用いた研究をしていたのがベースにありました.
その研究は元々私の指導教員が行っていたのですが,その後私が引継ぎ研究メンバーとしてあれこれ.
<参考>
リアルタイムモニタリングによる認知症高齢者の徘徊トリガー要因の究明
https://kaken.nii.ac.jp/ja/grant/KAKENHI-PROJECT-23390516/
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こちらは,読影レポートと部位の関係について用語だけではなく具体的に指し示す情報をレポートにタグとして埋め込み必要に応じて自動的に指し示す仕掛けを作った時に,特許出願したものです
位置情報付き画像診断レポートシステムの構築(第30回秋季学術大会 一般研究発表予稿集)(日本放射線技術学会)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrt/58/9/58_KJ00001364586/_article/-char/ja

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もう一度産学官の定義を振り返りますが,科学技術を基盤とした社会の実現のように捉えることができます.
無論そのような産学官連携もあるのですが,人的リーソースを「学」から供出する格好の産学官もあります.
産学官連携プロ野球で地域を盛り上げよう! (奈良テレビチャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=J2BnxcVEyW8
アンケート調査等も述べられていましたが学術的なアプローチもあるかと思うのですが,産学官連携も多様な方向に変化しています.

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大学が社会の需要(要望)に対して応えていくこと
連携に行政が入ってきているのが特徴で 当初産と学・官だったものが,社会への還元の話になり産・民(地域社会)と学と官(行政)という枠組み.

地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/kaikaku/coc/
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ということで,ここから先は広く大学からみた医学・医療に関連した産学官連携について紐解いていきます.

5.学の視点からみる連携

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例えば鳥取県の場合は県庁所在地の鳥取市に大学は無く西の米子市にある
鳥取県の医療の状況(鳥取県地域医療支援センター)
http://www2.hosp.med.tottori-u.ac.jp/t-chiikicen/3017/20603.html
北海道の場合
北海道の医師応援サイト|北海道で医師を目指す方、働く方を支援します (北海道地域医療支援センター)
http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/ishikakuho/index2.htm

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医育大学から産学官連携を考えた場合,大学としての顔と医療機関としての顔の2面が出てくるのできれいに切り分けながら話を進めていければと
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産学官連携ではあるものの,【産】に医療機関を入れるとなかなか上手く話せないので,医療の話をするときは別建てした方が良いと

大学として

教育(人材育成)
奈良県立医科大学の事例を挙げます. huhmacollab2019-22.png(283229 byte)
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大学が地域に必要な医療人材を育成するにあたって地域と連携する形です.
COC+の目指す「学生の就職先の創出・開拓と地域が求める人材養成に必要な教育カリキュラムの改革」に繋がる取り組みです.
まちづくり
奈良県立医科大学と早稲田大学でまちづくりに関する研究を行っています
MBTコンソーシアム
http://mbt.or.jp/
早稲田大学重点領域研究機構医学を基礎とするまちづくり研究所
https://pi-mbt.wixsite.com/home/home-j
動画は以下
Introduction of PIMBT-医学を基礎とするまちづくり研究所(早稲田大学医学を基礎とするまちづくり研究所)
https://www.youtube.com/watch?v=Sw73NhPSGKs
薬狩モニターツアー夏の宴(早稲田大学医学を基礎とするまちづくり研究所)
https://www.youtube.com/watch?v=dQLiJab-7Lw
MBTの取り組みの中で思わぬ格好で登場しています.
MBT NEWS LETTER第18号(MBTコンソーシアム)
http://mbt.or.jp/wp01/wp-content/uploads/2019/09/Vol.18-1.pdf
ケーブルテレビの番組でも取り上げられたので,残念ながらネット上には見当たらないのですが動画お見せします
令和頑年度2019年8月31日奈良県防災総合訓練KCN特番
学による医療への貢献
医療提供体制および医師数に関する検討分析

新しくなる南和の医療〜南奈良総合医療センター開院を迎えて〜 (奈良!そこが知りたい 奈良県)
http://www.pref.nara.jp/42501.htm
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経緯に関しては南和広域医療企業団のページに掲載されています
南和医療圏の現状(南和広域医療企業団)
http://nanwairyou.jp/about/iryoken/status.html
奈良県立医科大学県立医大医師派遣センターの本件に関するところは下記の評価資料で登場しています.
県立医大医師派遣センターによる医師派遣について平成29年7月(奈良県医師配置評価委員会)
http://www.pref.nara.jp/secure/157181/H28hyoukasyo.pdf
地域医療学講座として開院時における必要医師数について企業団(企業組合)と連携しながら検討

医療機関として

研修(人材育成)
臨床研修医のマッチング
地域医療充実のための臨床研修改革に取り組んで( 週刊医学界新聞第2894号 2010年9月6日 医学書院)
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02894_04
公平(均一)ではなく均質なプログラム設定 → 手間がかかるものの顔の見える関係になる
県内に広げることで臨床研修病院の「現場の連携」に→地域を皆で考える

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データの出典元:医師臨床研修マッチング協議会
https://www.jrmp.jp/

地域医療連携
(この部分は次回以降で多職種連携の話など幅広くなされるので,ここでは軽く)
地域医療構想調整会議では病院間で機能を調整して地域で提供する医療を考えなくてはならない.
議論を目的として病院がリストアップされたが,病院に対する衝撃が大きかったように思う.

第二十四回 地域医療構想に関するワーキンググループ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_06944.html
地域医療連携が前提となるが,病院診療所間で行われてきた地域医療連携にIT化の波
顔のみえる関係が前提になるがEHRの導入が進んでいる.
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臨床医学総論2018(分担:医療情報学総論)より)
北海道で私が見学に行ったところでは旭川の「たいせつ安心i医療ネット」があります
http://asamed.jp/i_net/index.htm
行政が基盤を整備しているものには
まめネット(まめネットでつながるわっ!! NPO法人しまね医療情報ネットワーク協会)
http://www.shimane-inet.jp/
まめネット−ピックアップ事例(医療情報連携ネットワーク支援Navi)
https://renkei-support.mhlw.go.jp/mamenet/

医療で得られた知の還元
良性発作性頭位めまい症(BPPV)患者の就寝時姿勢に着眼したアプローチ
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MBT NEWS LETTER第17号(MBTコンソーシアム)
http://mbt.or.jp/wp01/wp-content/uploads/2019/09/Vol.17.pdf

おわりに

スムーズな「連携」の実現には相手に知ってもらうことが必要となってきます.
当事者間では当然ですが,住民の方の視点にも注意しなくてはなりません.
例えば上で取り上げた地域医療構想に関連して下記のような調査データがあります
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(医師確保対策に関するデータ分析(奈良県地域医療構想の実現に資する取り組み)(第45回日本診療情報管理学会学術大会)より)
そこで,おわりに医療機関が住民の方の認識にショックを受け近隣医療機関と連携し,行政も連携してきたケースを紹介します
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発端は【学】岡山大学大学院の取り組みで倉敷中央病院のある地域を題材にGDを実施 → かなりショッキングな結果

アゴラin倉敷「倉敷中央病院と倉敷のまちづくりの協働の可能性」グループディスカッション資料
http://www.okayama-u.ac.jp/user/hss/up_load_files/agora/20120526agora.pdf
このことを発端として地域連携室が広報的な役割を発揮し,近隣の問題を共有する病院と連携
わがまち健康プロジェクト
http://www.wagapro.net/index.html
この取り組みをそのまま他地域で実施しても上手くいく可能性は?
自地域の医療提供体制の状況,行政との良好な関係など地域特性を整理した上で進めている印象

倉敷中央病院および倉敷市の医療提供の過去からわかる資料
倉敷中央病院で講演会と施設見学(広島県支部主催国内視察研修)JAHMC2015年4月号(公益社団法人日本医業経営コンサルタント協会)
https://www.hiroshima.jahmc.or.jp/pdfs/jahmc201504.pdf
「持続的成長をめざして−創立者のおもいの具現化」(大原社会問題研究所雑誌 606号 2009年4月号)
http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/oz/606/606-06.pdf
 大原社会問題研究所雑誌 606号 2009年4月号(法政大学大原社会問題研究所)
 https://oisr-org.ws.hosei.ac.jp/oz/contents/?id=2-001-9000591
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