小阪病院看護専門学校 情報科学2022(分担)

授業メニュー(担当分)

第1回 情報の定義と特徴,社会と情報

第2回 保健医療と情報

第3回 看護と情報

教科書

系統看護学講座別巻 看護情報学
https://www.igaku-shoin.co.jp/book/detail/108171
教科書の内容に基づいて解説,補足する格好で進めます


第1回 情報の定義と特徴,社会と情報

到達目標
1-1 情報データ知識の違いについて説明できる
1-2 情報の量と質について説明できる
1-3 情報化の進展によりどのような変化が起こるのか説明できる

教科書:第一章,第二章

情報とは

意思決定にあたって必要・・・不確実性を減らす
一般的には情報,データ,知識などを区別せず「情報」としている場合が結構ある.
その多くは情報というよりデータとしたほうが適切なケースが多いことだろう
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データの情報化にあたっては個人単位になるので,与えられた状況や個人の資質に依存する格好となる・・・数年後に同じ話を聞いても得るものは違う
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よりよい医療に貢献する医療情報技師の役割 より)
リスク:損失の発生確率であったり,損失の大きさの評価はどこまで想定しているのか,責任が生じるのかによるところが大きい.
若いころの怖いもの知らずの数々については後になってゾッとしています.

情報の特性

誤差(偶然誤差,系統誤差)の話はデータとしての話
ウソを上手くつく人は統計的には妥当性は低いものの信頼性があるという格好になり,信頼してはならない人のハズだが信頼性は高いという表現になる
情報量(bit,byte)はある事柄に関する選択肢の多さがもたらす不確実性の減少
(選択肢が一つしかなければ不確実性は0→確実性=1

情報の量

bit:シャノンの情報理論
AなのかAじゃないのか?明確に指定できる情報・・・1bit
(yes/Noを区別(選択肢2つから1に)させる情報)

選択肢4つから1にさせる情報・・・2bit
選択肢8つから1にさせる情報・・・3bit
選択肢は2のるい乗(べき乗)になる。

情報の質

偶然誤差と系統誤差=ノイズ
記録された情報は時間とともに質が低下(変化が起こる)

情報の認知と意思決定

情報は自身がデータに意味を付与するので,様々な影響を受けてしまう

情報の伝達とコミュニケーション

データそもののの伝達と情報を伝達し送信側と同じ情報として捉えていただけないケースは多々ある

情報社会の成立と発展

コンピュータ同士の情報伝達(コミュニケーション)は技術の進展とともに自由度が増しその活用により社会が変化
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保健医療分野における情報空間の安全な歩き方2022(開催趣旨) より)

情報社会で求められること

情報格差が社会生活に影響を及ぼすこと
情報が物理的な障壁を簡単に超える時代

第2回 保健医療と情報

到達目標
2-1 医療者間のコミュニケーションと医療者-非医療者コミュニケーションの違いについて考えることが出来る

教科書:第三章

医療における情報

医療者間のコミュニケーションにICTの活用が進んでいる
同様に対患者とのコミュニケーションも活用が進む

遠隔医療システムの類型

DtoD(Telemedicine)
医療者対医療者
一人の医療者が全ての専門知識を持っているわけでは無い
DtoP(Telecare)
医療者対患者
医師法第20条の解釈
PtoP
患者対患者
Communication Network Analysis in Maternity Hospital Bulletin Board System
Journal of Medical Systems(31/2)141-148 Shunji Suto, Nobuyuki Ashida, Terumasa Higashi, Hideo Takemura, Koji Kurimoto and Shiro Yorifuji

医療情報の電子化

施設を飛び越えた共有・・・解決しなくてはならない問題も
個人情報の取り扱いの問題
個人情報の保護に関する病院の義務と責任~個人情報保護法の施行へ向けて~
https://medbb.net/education/medicalSF20041124/

エビデンスに基づいた保健医療

疫学に関しては以下のような内容
関西福祉大学 疫学2021(教育学部保健教育学科)
https://medbb.net/education/kuswepi2021/

PICOとPECO P228表11-3参照のこと

ヘルスプロモーションと情報

個人によりデータの解釈が異なる事を前提としたうえでの健康に関する行動の変容を促すには情報リテラシーヘルスリテラシーとプロモーションが必要

第3回 看護と情報<

到達目標
3-1 看護の視点からデータを分類できる
3-2 標準化について考えることが出来る

教科書:第4章

看護のデータ

データの分類

主観と客観
主観データ・・・対象の主観的な思いや訴え
客観データ・・・道具・器具,機械により測定したもの
個人と環境
個人(主体)データ・・・主体自身に関するデータ
環境データ・・・環境に関するデータ

看護の標準化

データの標準化とエビデンス

看護過程
患者の健康上の問題を見極め,その解決についての考えを計画・実行し結果を評価
アセスメント
診断
計画
実施
評価
エビデンス
標準化されたデータにより幅広いエビデンスが得られる
クリニカルパス
検査・治療・ケア全体の標準化されたプロセス
バリアンス・・・標準プロセスからの逸脱

看護用語

ターミノロジー・・・看護用語集
NANDA NIC NOC

看護の質指標

NDNQI JINQI 「構造」「過程」「成果」
DiNQL 「構造」「過程」「成果」

情報社会と看護

インターネットの利活用

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検索エンジンのサジェスト機能を用いた病院情報探索行動の分析(第41回日本診療情報管理学会学術大会)より
ヘルスリテラシー向上の支援が必要

意思決定支援

葛藤やジレンマが生じる理由を知ることで意思決定が上手くいく場合もある