高齢者の退院に向けた看護(高齢者の地域での生活への影響)
奈良学園大学 老年看護援助論 (保健医療学部看護学科)
(開催日時)2022年5月27日(開催場所)奈良県奈良市 奈良学園大学
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自己紹介
開講にあたりまして2022(自己紹介,講義資料の話など)https://medbb.net/education/2022init/
目的
高齢者が日常生活を送るにあたりどのような脅威があるのか関心を持ち,退院に向けた看護をより効果的なものになるよう考えることが出来るようにAgenda
社会状況の変化
高齢者の地域での生活と脅威
高齢患者の退院
社会状況の変化
人口構成
人口ピラミッドの推移
(国立社会保障・人口問題研究所人口ピラミッド画像(1965~2065年)https://www.ipss.go.jp/site-ad/TopPageData/PopPyramid2017_J.html を加工して作成)
人口ピラミッドが人口増減の要因について全てカバーできるわけでもない
(社会人になってみた(頃を客観的に振り返る話) より)
従属人口指数
年少人口指数(年少人口/生産年齢人口)と老年人口指数(老年人口/生産年齢人口)の和1970年と2000年では指数そのものの変化は無いが,その構成割合は変化している.2020年になると指数そのものが上昇
令和2年版高齢社会白書(内閣府)高齢化の推移と将来推計のデータを加工して作成
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2020/html/zenbun/s1_1_1.html
日本の統計2022 2-6都道府県,年齢3区分別人口(エクセル:15KB) を加工して作成
https://www.stat.go.jp/data/nihon/index1.html
高齢者の地域での生活と脅威
高齢者の特性であったり,地域社会での生活についてまとめてみます高齢者
一般的には65歳以上行政等の考え方では線引きがしやすいが社会活動を考えるとさまざまでしょう
20年前と今では状況が変わっていますので(健康寿命の話であったり社会保障の話など),「体の自由がきかないと感じるようになった時期」を年齢に充てるのが実態に合うのかなと思います.
こちらの報告書では,75歳から「 高齢者・高齢期(old)」と提言しています.
出典:日本老年学会・日本老年医学会「高齢者に関する定義検討ワーキンググループ」報告書
https://www.jpn-geriat-soc.or.jp/info/topics/pdf/20170410_01_01.pdf
この線引きの話は「地域」の話も同様で実態と線引きは異なってしまうように感じています.
地域の捉え方
人の繋がりからみる生活空間(二次の関係までを繋がりとして)上記に物理的空間(行政区分)の概念を入れると
(コンソーシアム実習2・地域医療学概論(分担:奈良県の地域医療) より)
日常生活
80歳以上で急激に日常生活をこれまでのように自身で出来なくなる方が増えていく印象です出典:第9回高齢者の生活と意識に関する国際比較調査(内閣府)
https://www8.cao.go.jp/kourei/ishiki/r02/zentai/pdf_index.html
健康
健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること(WHO)医療
医学的実践→(20世紀後半)+「予防的な検診」「健康教育」→生活上の配慮医師によるもの→看護師の役割→多職種によるチーム医療
「医療」と「保健」の世界の融合
(地域と医療の統合に資する 情報活用の考え方 -不足の観点からみる医療2.10- より)
「健康になるための医療」「健康でいるための保健」という考え方ではなく「生活するための保健医療」
単純に 健康=病気ではない ではない
→社会的に満たされた状態
健康の定義について(公益社団法人日本WHO協会)
http://www.japan-who.or.jp/commodity/kenko.html
結構ハードルたけえな、健康 pic.twitter.com/1MvA3S0fce
— 棒手振子 (@botefuriko) 2017年8月18日
地域での生活
生活・・・生存+活動問い
地域社会での生活は「健康」であれば問題はないのか?地域社会での生活は「健康」でないと問題があるのか?
健康と活動
医学モデル
生活していく上での不具合は健康状態によるものとする考え方社会モデル
生活していく上での不具合は社会によるものとする考え方ICF
ICFで示すと,医療機関(病院)からのアプローチが医学モデル,地域での生活からのアプローチが社会モデル.International Classification of Functioning, Disability and Health
国際生活機能分類
https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/42407/9241545429-jpn.pdf
医学モデルと社会モデルを融合させて,生活の視点から評価できるようにしたもの
ICD
International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)医療機関で用いられている疾病コード
参考資料
ICFイラスト・ライブラリーhttp://www.icfillustration.com/index.html
ICF(国際生活機能分類)-「生きることの全体像」についての「共通言語」-
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002ksqi-att/2r9852000002kswh.pdf
疾病、傷害及び死因の統計分類(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/sippei/
高齢者の退院に向けて
高齢者の場合は老年症候群の他に,入院による影響を抑制することが求められます老年症候群
多岐にわたる心身の諸症状・兆候の総称(参考文献の表を確認すると多岐にわたることがよくわかる)特徴
1.日常の自立を妨げるものが多い2.医学的な介入と介護的な介入が必要となる場合が多い
3.臓器・器官の機能低下と複雑に連鎖
参考文献:老年症候群と高齢者総合的機能評価(木村琢磨,日本内科学会雑誌,107巻12 号,2018)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/naika/107/12/107_2420/_article/-char/ja/HAD
入院関連機能障害(Hospitalization-Associated Disability)原疾患によらない入院中の安静臥床が原因となるADL低下
参考文献:入院関連機能障害(Hospitalization-Associated Disability:HAD)の現状と危険因子の検討(田邊翔太,矢野彰三,日本農村医学会雑誌/65巻5号,2016)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjrm/65/5/65_924/_article/-char/ja/環境
生活者視点からどのようなサポートが必要なのか,健康の視点から関心を持つことが必要かなと思います.地域の特性の把握に努めることで,より良い支援につながるのではと思っています.