奈良県立医科大学 保健統計学Ⅱ2021
(医学部看護学科)
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ハイブリッド形式での授業になります.第01回FTF 保健医療分野で用いられている指標 比と率と割合
第02回FTF 公開されているデータの収集と分析(1)厚生労働統計(医療)
第03回CMC 公開されているデータの収集と分析(2)厚生労働統計(健康)
第04回CMC 公開されているデータの収集と分析(3)その他の統計(所管府省:文部科学省,総務省統計局)
第05回FTF 質問紙調査法(1)調査法について
第06回CMC 質問紙調査法(2)調査票の作成と回収
第07回CMC 質問紙調査法(2)一次集計と二次集計
本授業の位置付け
「保健師助産師看護師国家試験出題基準 平成30年版」について(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000158926.html
の「保健統計」に関する部分を念頭に置いて
凡例:保健統計学Ⅰ保健統計学Ⅱ
1.統計学の基礎
A.データの種類と分布
a.カテゴリーデータb.順序データ
c.数量データ
d.ヒストグラム
B.測定と尺度
a.健康評価尺度b.心理発達尺度
c.活動・行動・社会尺度
C.主な確率分布
a.正規分布b.二項分布
D.代表値と散布度
a.平均(算術平均)b.幾何平均
c.中央値
d.最頻値<モード>
e.分散と標準偏差
f.四分位数とパーセンタイル値
E.関連の指標
a.相関・散布図b.回帰
c.クロス集計
F.統計分析
a.点推定と区間推定b.帰無仮説と統計学的有意性
c.割合に関する推定と検定(χ2<カイ二乗>検定)
d.平均に関する推定と検定(t検定)
e.相関係数に関する推定と検定
f.多変量解析
G.適切な図表の作成と活用
a.データに合わせた図表の選択b.図表の作成
c.図表の活用
2.人口統計
A.人口静態統計の基本と動向
a.日本の人口b.年齢別人口
c.世界の人口
B.人口動態統計の基本と動向
a.死亡b.出生と人口再生産
c.死産、周産期死亡
d.婚姻と離婚
C.主な健康指標と動向
a.平均寿命b.健康寿命
c.合計特殊出生率
d.年齢調整死亡率
e.標準化死亡比<SMR>
3.保健統計調査
A.基幹統計の基本と動向
a.国勢調査b.国民生活基礎調査
c.患者調査
d.医療施設調査
e.学校保健統計調査
f.社会生活基本調査
B.A以外の基礎的な統計調査の基本と動向
a.感染症発生動向調査b.食中毒統計調査
c.国民健康・栄養調査
d.地域保健・健康増進事業報告
e.身体障害児・者等実態調査
f.介護保険事業状況報告
g.衛生行政報告例
h.福祉行政報告例
C.医療経済統計の基本と動向
a.国民医療費b.介護サービス施設・事業所調査
D.疾病・障害の定義と分類
a.国際疾病分類<ICD>b.国際生活機能分類<ICF>
E.活用可能なデータベースの基本
a.レセプト情報・特定健診等情報データベース<NDB>b.国保データベース<KDB>システム
4.情報処理
A.情報処理の基礎
B.文献検索の方法と結果・データの活用
教科書
1)系統看護学講座 基礎分野 統計学(医学書院)2)公衆衛生がみえる(メディックメディア)
3)ナースのための質問紙調査とデータ分析(医学書院)
4)国民衛生の動向
参考図書
1)看護学生のための疫学と保健統計(建帛社) 2)ナースのための統計学(医学書院) 3)標準保健師講座別巻2 疫学・保健統計学(医学書院)授業の進め方
電卓使いますのでよろしくお願いします
単位認定
授業中に示す課題の提出(30%) 定期試験(70%)課題の提出は教務システムからのみ受け付けます.
授業開講日の翌々日の22時までとします.
課題の提出を以て出席とします.
また白紙など課題に取り組んだ形跡が見られない場合は欠席および減点とします.
学籍番号氏名がノートに記されていない場合も欠席及び減点とします.
課題について集計したものや学習指導上皆で共有したほうが良いものについてはフィードバックしていこうと考えています.
あと,設問に関係ないけどほのぼのした内容も時々出せたらと思っています.
第01回FTF 保健医療分野で用いられている指標 比と率と割合
到達目標1-1 比と率と割合について説明できる
1-2 人年法について説明や計算が出来る
教科書1)P168-194
教科書2)P12-14
比と率と割合(比率)と
ここら辺の理解について整理しておいてくださいごちゃごちゃに整理される原因は割合=比率という整理になっているところだと思います
比
ratio異なるもので割ったもの・・・単位は無次元の場合もある
例)BMI(Body Mass Index)
身長の二乗(m^2)に対する体重(kg)の比
身長170cmで体重70kgの人のBMI・・・70/(1.7^2)≒24.2
検査表の見方(日本人間ドック学会)
http://www.ningen-dock.jp/public/method
率
rate時間に対する何かの量の比・・・単位は無次元の場合もある
変化を表す指標
例)時速
マラソン(42.195km)を2時間6分で走った場合の時速・・・42.195/2.1≒20.1km/h
100m走を10秒で走った場合の時速・・・0.1/(10/3600)=36km/h
無次元の例としては稼働率
稼働率(JIT基本用語集)
http://www.lean-manufacturing-japan.jp/jit/cat241/post-74.html
時間を時間で割るので無次元
割合(比率)
proportion全体に対してその一部がどの程度占めるか割ったもの・・・単位は無次元になる
0~1の間の値をとるpercentで表示したりする。100%を超えるのは本来おかしい
例)日本人の血液型の割合
A型 約40%
B型 約20%
O型 約30%
AB型 約10%
人年法
一人の人を一年観察したとき1人年人年に対する何かの量の比・・・率になる
例)5人の患者を1年間観察していた時に二人死亡
Aさん 1年後生存
Bさん 3ヶ月後に死亡
Cさん 9ヶ月後に死亡
Dさん 1年後生存
Eさん 1年後生存
本来の死亡率算出
観察人年=1+0.25+0.75+1+1=4人年その間の死亡数が2なので
2/4=0.5 「死亡率(1人年あたり)0.5」
2/4*1000=500「死亡率(1000人年あたり)500」
年央人口を用いる方法
6ヶ月経過の時点での生存者4人1年経過後の集団の死亡数が2なので
2/4=0.5 「1人年対0.5の死亡率」
参考資料
厚生労働統計に用いる主な比率及び用語の解説(厚生労働省)http://www.mhlw.go.jp/toukei/kaisetu/index-hw.html
人年法の計算と利用方法,青木伸雄,日本循環器管理研究協議会雑誌 26(1),64-66,1991
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjcdp1974/26/1/26_1_64/_article/-char/ja/
年齢調整死亡率
年齢によって死亡率が変わるのは自明年齢で区切って死亡率を評価する
直接法
モデル人口を用意して観察集団の年齢階級別(粗)死亡率をモデル人口における対象とする年齢階級の割合を乗ずる方法例題 A市
年齢階級 | 死亡率(人口10万対) |
---|---|
年少人口(~15) | 60 |
生産年齢人口(15~65) | 250 |
老年人口(65~) | 3000 |
年齢階級 | 死亡率(人口10万対) |
---|---|
年少人口(~15) | 50 |
生産年齢人口(15~65) | 200 |
老年人口(65~) | 4500 |
年齢階級 | 人口 |
---|---|
年少人口(~15) | 25,015,000 |
生産年齢人口(15~65) | 82,654,000 |
老年人口(65~) | 12,618,000 |
総人口 | 120,287,000 |
昭和60年モデル資料
平成29年度人口動態統計特殊報告 平成27年都道府県別年齢調整死亡率の概況(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/other/15sibou/index.html
「1.年齢調整死亡率について」を参照
間接法
モデル人口を用意してモデル人口における年齢階級別死亡率を観察集団の年齢階級別人口を乗ずる全年齢の死亡数を求め積算したものを,観察集団の死亡数で除する.
例題 C市
年齢階級 | 人口構成 | 死亡期待数 | 実際の死亡数 | SMR |
---|---|---|---|---|
年少人口(~15) | 130,000 | ----- | ----- | |
生産年齢人口(15~65) | 700,000 | ----- | ----- | |
老年人口(65~) | 200,000 | ----- | ----- | |
計 | 1,030,000 | 9,000 |
年齢階級 | 人口構成 | 死亡期待数 | 実際の死亡数 | SMR |
---|---|---|---|---|
年少人口(~15) | 200,000 | ----- | ----- | |
生産年齢人口(15~65) | 500,000 | ----- | ----- | |
老年人口(65~) | 330,000 | ----- | ----- | |
計 | 1,030,000 | 9,000 |
年齢階級 | 人口10万対 |
---|---|
年少人口(~15) | 40 |
生産年齢人口(15~65) | 200 |
老年人口(65~) | 3,000 |
課題
1)例題のA市B市の年齢調整死亡率を算出・比較し,直接法の利点・欠点について考察せよ2)例題のC市D市のSMRを算出・比較し,間接法の利点・欠点について考察せよ
第02回FTF 公開されているデータの収集と分析(1)厚生労働統計(医療)
到達目標2-1 医療施設調査のデータを利用することが出来る
2-2 医療施設調査のデータを元に奈良県の医療提供体制の状況を把握できる
教科書2)P136-141(医療従事者の現状)P150-151(へき地医療)
医療施設調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html医療施設(病院及び診療所)
動態調査(毎月)と静態調査(3年毎)からなる.
以下, 令和元年医療施設(動態)調査表番号N1,第1表 病院数;病床数,病院-病床の種類・二次医療圏・市区町村別
csvデータから奈良県のみ抜粋
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031982297&fileKind=1
令和元年医療施設(動態)調査表番号N2,第2表 一般診療所数;歯科診療所数;病床数,病床の有無・二次医療圏・市区町村別
csvデータから奈良県のみ抜粋
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/file-download?statInfId=000031982298&fileKind=1
奈良県のへき地関連の医療機関
市町村別人口
推計人口調査(奈良県)http://www.pref.nara.jp/6265.htm
奈良県の推計人口調査(年報)結果の概要1より引用(市町村別人口)
http://www.pref.nara.jp/secure/221749/r2-gaiyou01.pdf
CSV形式
ネットワーク上で取り扱えるデータは全て0,1の何れかの数値の羅列.
皆さんがスマホやPCで見ている各種データは人にわかるように表示している
拡張子によって人はデータの形式を知ることができる
CSVはシンプルな形式なので,様々なソフトで取り扱うことができます
課題
提示したデータより奈良県の各地域の医療提供体制の状況について,簡潔にまとめよ補足
課題について
苦言
考察というのは自分で考えることで,引用したものであればそれを明記することが必要.考察というのはそれらの引用したものを基に論じるものである.いわゆる盗用といわれてもいたしかたない話なので注意のこと第03回CMC 公開されているデータの収集と分析(2)厚生労働統計(健康)
到達目標3-1 国民生活基礎調査と患者調査の違いについて説明することが出来る
3-2 国民健康・栄養調査のデータを基に分析できる
教科書2)P62-65(国民健康基礎調査)P180(健康増進法)
2.4.健康(健康増進)-厚生労働統計一覧(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/index.html#anc2-4国民生活基礎調査
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/20-21.html国民健康・栄養調査
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kenkou_eiyou_chousa.html例題:「令和元年国民健康・栄養調査 第2部 身体状況調査の結果 第51表 糖尿病を指摘されたことがある者における,治療の状況 - 治療の有無,年齢階級別,人数,割合 - 総数・男性・女性,20歳以上」より
男女の区分により治療の有無と関連があるか検定を行え.(有意水準5%)
課題
「令和元年国民健康・栄養調査 第2部 身体状況調査の結果 第51表 糖尿病を指摘されたことがある者における,治療の状況 - 治療の有無,年齢階級別,人数,割合 - 総数・男性・女性,20歳以上」より40-64歳,65-74歳,75歳以上 の年齢区分で治療の有無(男女合計で)と年齢に関係があるか検定を行え(有意水準1%)
補足
課題について
概ね問題なかったのですが,「帰無仮説を棄却せず判定保留」としながら結論が「関連あり」で辻褄のあっていない方がおられたぐらい第04回CMC 公開されているデータの収集と分析(3)その他の統計(所管府省:文部科学省,総務省統計局)
到達目標4-1 学校保健調査の調査対象と調査項目を理解しデータを利用することが出来る
4-2 社会生活基本調査の調査対象と調査項目を理解しデータを利用することが出来る
教科書2)P334-342
学校保健
学校保健統計調査(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa05/hoken/1268826.htm社会生活基本調査(総務省統計局)
http://www.stat.go.jp/data/shakai/2021/index.htmlestat
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00200533&result_page=1
課題
以下,数値を算出しグラフなどを用いてまとめよ1)学校保健統計調査のデータより都道府県別の肥満児,痩身児の傾向について奈良県の状況について全国値や他府県と比較しながらまとめよ.
2)社会生活基本調査のデータより行動について,曜日や種類別に年代や性別による違いについて特徴を抽出し考察も行いながらまとめよ.
なお,使用した表を明記すること
補足
課題について
対面授業なので直接示します第05回FTF 質問紙調査法(1)調査法について
到達目標5-1 調査法の分類について説明を出来る
5-2 調査設計の流れについて説明出来る
教科書3)P1-31
データ収集方法
面接法,観察法,実験法,テスト法,調査法データが意味を持つ条件
適時性,代表性,妥当性,信頼性,精密性,比較性調査法の分類
質的調査と量的調査からなるP11表2-1の長所短所参照のこと
質的調査
観察調査,面接調査,事例調査,生活史調査量的調査
量的調査の取り方
横断的調査,縦断的調査.比較調査量的調査の調査手法
質問紙調査,既存統計資料調査質問紙調査
個別面接質問紙調査,郵送質問紙調査,留置質問紙調査,集合質問紙調査,電話調査調査の設計
実態調査と仮説検証調査に分かれる調査対象の選定
全数調査と標本調査がある標本の抽出
有意抽出法,無作為抽出法(単純,系統,多段階,層別)変数
尺度の種類・・・以前の授業で行いました課題
厚生労働統計一覧より,①質問紙調査
②既存統計資料調査
③横断的調査
④縦断的調査
を一つづつ挙げよ
補足
第06回CMC 質問紙調査法(2)調査票の作成と回収
到達目標6-1 調査表を作成出来るようになる
6-2 調査票の整理の流れについて説明出来る
教科書3)P35-49,P55-P70
参考資料
社会教育調査ハンドブック(平成23年度 社会教育指導者の育成・資質向上のための調査研究事業 国立教育政策研究所)https://www.nier.go.jp/jissen/chosa/handbook1-23.htm
第Ⅳ部調査票の作り方
https://www.nier.go.jp/jissen/chosa/h23_handbook03_04.pdf
第Ⅵ部調査結果のまとめ方
https://www.nier.go.jp/jissen/chosa/h23_handbook03_06.pdf
回答形式
自由回答法(Open-ended question)
自由記述法
言語連想法
文章完成法
選択肢回答法(Closed-ended question)
単一回答法
複数回答法
順位回答法
一対比較法
SD法
数値配分法
調査票の整理
欠損地の処理
データのカテゴリー化
課題
新たなコンビニのあり方検討会(経済産業省)において実施されたアンケートhttps://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/new_cvs/003.html
より オーナーアンケート調査票,従業員アンケート調査票,ユーザーアンケート調査票,店舗出口調査票の設問を回答形式別にとりまとめ評価したうえで,そろぞれのアンケートの負担感について順位付けを行え.
第07回FTF 質問紙調査法(3)一次集計と二次集計
到達目標7-1 一次集計と二次集計の違いについて説明出来る
7-2 ノンパラメトリック検定が行える
教科書1)P35-43,132-135
教科書3)P71-P92,147-152
一次集計
単純集計ともいう.度数,割合などを求める.
全体的な傾向を示す
指標
度数,代表値,散布度(統計Ⅰで済み)図
棒グラフヒストグラム
帯グラフ
円グラフ
折れ線グラフ
散布図
箱ひげ図(統計Ⅰで済み)
資料
なるほど統計学園(総務省統計局)https://www.stat.go.jp/naruhodo/
二次集計
研究の目的のための分析仮説検定など
量的データの分析(ノンパラメトリック)
ウィルコクソンの符号付順位和検定教科書・・・分布型,計測尺度,分散の制約なし
教科書
1:ペアのデータの差dを求める
2:dの絶対値よりそれぞれの差(d)の順位(昇順)を求める
同順位の話・・・教科書P76参照
3:検定統計量Tは+,-別に順位を足したもので小さい方
T0=min(T1,T2)
有意確率については直接計算出来るが延々と計算していくのは大変
n≦25まではWilcoxon検定表を使ってください(P274)
N数が少ないと(空白の部分)判定保留にしかならない
教科書P78参照のこと