地域包括ケアと医療の妙な関係−不足の観点からみる医療2.20−

滋慶医療科学大学院大学 武田ゼミ
(会期)2017年7月8日 (開催場所)大阪府大阪市 滋慶医療科学大学院大学
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1.自己紹介(地域医療と私の関係)

私の分岐点だらけの人生についてなど諸々興味のある方は後ほど

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奈良県地域医療支援センター(奈良県)
http://www.pref.nara.jp/34727.htm
地域医療支援センター(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/chiiki_iryou/index.html
役割は医師の育成と確保(適正配置)の話だが、医療提供体制をどのようにするか考えないと話が進まない。
しかしながら、これらの文面を素直に読むと、「地域医療支援とはその地域に必要な医師の確保」と読んでしまいかねない。
私は「地域医療支援とは地域に適した医療提供体制に必要な医療資源の確保」であると捉えています。

2.地域包括とは

バク(漠)っとした用語ですのでどのような使われ方をしているのか調べました
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他に「地域包括」とセットで出現していたワードには「求人」「リハビリ」「社会福祉士」「保健師」「看護師」「ケアマネ」などがありました。
「地域包括支援センター」の役割を当初勘違いしていたのですが、自己紹介で示した「地域医療支援センター」も同様に名前だけ聞くと誤解されたりする方も多いんだろうなと思っています。 反省の意味を込めて下のスライドで確認
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さて、これらの出現した関連用語を地域の保健医療にあてはめると
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(図中のスライドは 地域と医療の統合に資する 情報活用の考え方 −不足の観点からみる医療2.10− より)
先に示したように非日常の医療と日常生活の橋渡しをするポイントを誰が主体的に担うのかが(医療提供側からみると)カギ。
ところが調査「地域包括支援センターにおける業務実態や機能のあり方に関する調査研究事業報告書」(三菱総合研究所)によると『関係機関との連携が十分でない』場合の関係機関(複数回答)で「医療機関」が一番多い(29.8%)。2番目は「地域のインフォーマルサービス」(28.1%)一番少ないもので介護保険サービス事業所(5.3%)

「地域包括ケアシステムですが
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私はここで述べてるシステムとはOSの話で、アプリケーションは各地域で既存のものをカスタマイズするなり開発して構築しなくてはならないと認識しております。
地域において実際に医療と日常生活(介護)が連携していくべきなのかの一例として以下。
「船橋市における在宅医療・介護連携の心得」(船橋在宅医療ひまわりネットワーク事務局)
http://himawarinet.jp/rule

3.医療資源と地域包括ケア資源

ここでは人的資源の話に絞って考えたいと思います
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学校等による教育に基づいた資格を取得していない従事者を推計したところ介護38%,医療28%程度となりました。
医療業界で最も多い看護師は医療の世界では療養中の住民(患者さん)の生活を支える
(保健師助産師看護師法第五条「療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」)
介護業界で最も多い介護福祉士は住民の日常生活を支える
(社会福祉士及び介護福祉士法第二条「日常生活を営むのに支障がある者につき心身の状況に応じた介護・・・並びに・・・介護に関する指導を行うことを業とする者」)

地域包括ケアシステムでは互助が組み込まれているので、住民の方に広く介護に関する指導であったり、高齢者の方や認知症の方に対する正しい知識を持っていただけるような取り組みが必須になってくる。
医療の現場では様々な事象に対して都度判断して対応することが求められる。さらにそこで得られた知見や問題点を明確にし得られた知見を学会発表や論文等で公表していくことで医学への貢献のみならず、より良い医療環境に向けた取り組みに繋がっている。
介護の現場においても医療と同様な知の循環を産み出せるようにしないと、「私たちの地域包括ケアシステム」構築できないのでは?
「介護学」とは
日本介護学会
http://www.jaccw.or.jp/gakkai/index.php

介護福祉士の専門性(公益社団法人 日本介護福祉士会)
http://www.jaccw.or.jp/fukushishi/senmon.php
以下抜粋
介助も含めた生活全般について、観察などから情報収集して、それらを統合・分析し、どのような課題、ニーズがあるのか発見したうえで、QOLを高めるための介護方法を見出していくこと

教育・学位授与の方針と求める人物像(日本福祉大学)
http://www.n-fukushi.ac.jp/about/university/admission/kenko/index.html
以下抜粋
介護学専攻
学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)
知識・理解
1.リハビリテーションを学ぶ上で必要な医療・保健・福祉の基本的知識を理解することができる。
2.対象者が抱えている生活問題について、社会の動きと関連づけながら理解し、問題解決に向けた実践に活かすことができる。

終わりに

やたらと「互助」を推している理由を考えてみると・・・

お金が不足しているからそれを解決する方策なのでは?

お金があるなら地域には互助不要となってしまうわけで、「地域づくり」の観点でみるとあまり関係ないように思います
無論金の切れ目が縁の切れ目程度の地域もあるかもしれません。お金が無くなれば崩壊してしまうことでしょう。
果たしてそんな地域って住んでて楽しいのだろうか?などと考えると以下のスライドを思い出したりします。
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地域と医療の統合に資する 情報活用の考え方 −不足の観点からみる医療2.10− より)

お互い様

お互い様の世界はプロフェッショナルな世界と異なる価値観をもたらす。
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医療・介護それぞれのプロフェッショナリズムと地域住民のお互い様文化を絶妙に融合させたシステムが「持続可能な私たちの地域包括ケアシステム」なのだと思います。
それぞれが役割を果たさないと。

補足・後書

農村社会のくだりで提示したtweet


地域包括ケアシステムはOS論

ディスカッションで一番盛り上がったのはここのくだりだったように思います。ありがとうございました。
資源が豊富(メモリ容量やCPUなど)であれば色々なアプリが動きますけど、資源が無ければきちんと動かない(ひどい場合はOSすら)
PCを使う際アプリケーションソフトを購入するときは推奨スペックなどを確認するわけですし、複数のアプリも走らすわけですからユーザーがアレコレ考えないと
自身がOSに夢をみていた時期を思い出しますと・・・、10代のころにラップトップPCを何とか安価に買えないかと考えNECの文豪mini5Hを中古で購入したことがあります。
ワープロ専用機なのですが電源ONにするときにゴニョゴニョするとCP/MというOSが起動するマシンでした。さらに調子に乗ってアレコレ作業してMS-DOSVer2.11も走らせました
憧れのOSを手に入れたわけたものの具体的なことはほとんど何もできず、ただただコマンドプロンプトを眺めているだけでした。

詳しく書かれている記事は以下
文豪mini5はパーソナルコンピューターの夢を見るか!?(新 レトロゲーム紀行)
http://retrogamer.seesaa.net/article/43384336.html

人的資源の算出の話

この部分を掘り下げた話を2週間後にしゃべる予定です。以下(2017.7.21まではリンク切れ若しくは未完状態ですが)参照ください
オープンデータで読み解く地域包括ケア−不足の観点からみる医療2.21−