奈良県立医科大学 地域医療学2016(データ分析編)
(大学院看護学研究科)
授業メニュー
第1回 データからみる地域保健医療の考え方
第2回 PCを用いたデータ分析
第1回 データからみる地域保健医療の考え方
到達目標
1−1地域による影響の及ぼし方の違いについて説明できる
1−2データを比較することの意義について説明できる
1−3データの比較だけでは説明困難な部分があることを説明できる
変化の視点からみる地域
この世の中は時間に支配されているため、なにかしら変化しているコントローラブルなものから困難なものまで
変化するからこそ人生は面白い(と思える思考が人生には必要)
変化しやすさ/しにくさ
系全体が個を変化させる・構成数が多い・・・変化を受けにくい
・構成数が少い・・・変化を受けやすい
個が系全体を変化させる
・構成数が多い・・・それぞれが少しだけ変化すれば系全体として変化する
・構成数が少い・・・それぞれが相応な変化をしないと系全体にとして変化しない
(統計の自由度の話を思い出してください)
構成数(人口)が多いと、地域社会に必要な組織のメンバーが異なる(町内会,PTAなどなど)⇔少ないといつも同じようなメンバー・役割
故に地方部ほど社会資源の変化に敏感になる(自身の人生に影響を与えるから)
地方部ほど未来を想定して備えていかなくてはいけない→キチンとしないと未来を考える若者はいなくなるかも
保健医療2035
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hokabunya/shakaihoshou/hokeniryou2035/future/(地域と医療の統合に資する 情報活用の考え方 −不足の観点からみる医療2.10− より)
「フェアネス」の考え方については公開していない部分の資料で解説します
地域×保健医療(データの観点から)
公衆衛生と個人衛生(保健学)の違い集団からみていく地域の話・・・公衆衛生
個人からみていく地域の話・・・地域保健医療・・・それって違うの?
周藤が考える地域(保健)医療学(2016)
1)集団(地域)内における健康問題に関する公正性の担保を、集団(地域)内外の資源を活用して実現するための学問領域「地域完結型医療」というのは「病院完結型医療」に対するアンチテーゼとして打ち出されたたもので、地域(集団)の人々の健康問題の解決に必要なリソースは地域外にあってもかまわない
2)地域(集団)間の健康格差の縮小を目指すのは公衆衛生学と同じところではあるが、そのアプローチに公平性を求めていない
公衆衛生学・・・地域(集団)への公平な取り組みによる公正(健康格差の縮小)
地域(保健)医療学・・・他地域(集団)と公平ではないかもしれない現状を前提とした取り組みによる公正(健康格差の縮小)
データの話
1)データを集積する側から眺める世界データをまとめながら差異を見つけてそこからドリルダウン
2)データ発生源から眺める世界
なかなか大変だが、技術の進展により個人データの可視化・積み上げに関するハードルが低くなってきた
データを集積する側
どのようなところにどのような格好で情報が集積しているのか厚生労働統計一覧
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/
保険医療機関・保険薬局の管内指定状況等について(近畿厚生局)
https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/gyomu/gyomu/hoken_kikan/shitei_jokyo.html
平成26年度 病床機能報告制度に基づく集計結果(奈良県)
http://www.pref.nara.jp/module/75415.htm#moduleid75415
看護統計資料室(日本看護協会)
https://www.nurse.or.jp/home/statistics/index.html
などなど色々あります。
今日の課題
1:奈良県の看護養成者数(1学年あたり)と就業者の比率を求め全国と比較せよ
2:奈良県の人口10万対の看護師数と医師数の比率を求め全国と比較せよ
授業後補足
データの話の2)の話
意味合いとしては 個票データから平均値を求めるのと度数分布表から平均値を求める話 <参考> 奈良県立医科大学 生物統計学2016(医学部医学科)講義資料 http://www.medbb.net/education/nmubiostat2016/index.html#3 第3回の到達度確認3の問題をやってみてください (3)次の度数分布表のA〜Cに入る数値を記し尿量の平均値を概算せよ) 個票を電卓で計算しようとすると心が折れると思います 個票はCSV形式で下にありますが問題2を解いてからみてください。今はエクセルあるので一瞬ですが http://www.medbb.net/education/nmucommed2016/img/nmucommed2016-0101.csv データ分析の視点下記に示した記事の話。少し話題になっていますねデータ集積側的な指標で考えると個々の事故・違反歴はとれるが走行距離まではわからないから率でザックリの指標を出す(時の刻みは皆同じなので 無違反期間) じゃあ走行距離当たりに補正する?という話 なんの目的の制度か分からなくなりそうだが、運転者への安全啓発で、その評価指標は集積側からみたら事故・違反数の単位時間当たりの合計と考えるのは自然 走行距離でみるといってもそれも集積側的な発想で、高速道路と一般道でも違うし、一般道でも私の祖母が住んでいたところと、私が現在住むところでは迫りくる危険が異なるわけで 地域の保健医療の話と類似しているなと思います 「運転していない人がなんでゴールドなのか」 田中康夫氏が「優良運転者」制度に異議(JCASTニュース) http://www.j-cast.com/2016/11/23284220.html?p=all |