「コンソーシアム実習」地域医療学概論(分担:奈良県の地域医療(行政から)
(奈良県立医科大学医学部医学科 ・早稲田大学)

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1.医療行政

2.医療法

3.奈良県の医療計画

0.自身について

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(医師確保対策に関するデータ分析について(奈良県地域医療構想の実現に資する取り組み)(第45回日本診療情報管理学会学術大会 シンポジウム1 地域医療構想に向けた情報活用の取り組み)より)

1.医療行政

関連する行政機関

省庁:厚生労働省,文部科学省(人材育成)
一般地方公共団体:都道府県,市町村
特別地方公共団体:一部事務組合
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住民としては医療=医療機関での受療というイメージ,行政は需要と供給のバランスを永続的に保てるような取り組みが求められる

医療資源

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不足の観点からみる医療2.0β より)

医療需要

基本的に需要が少ないほど良い
が増大している(住民の高齢化)
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その後減少する(住民の減少) →地域そのものが成立しなくなっていく
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地域の救急搬送状況の改善と今後の課題 より)

単独の地域ではなく圏域で(→医療計画の医療圏の設定と同様)
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総務省 自治体戦略2040構想研究会『自治体戦略2040構想研究会 第一次・第二次報告』(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/kenkyu/jichitai2040/index.html )を加工して作成
奈良県へき地における医療提供体制の現状と今後について より)

参考

医療及び介護に関する各種方針・計画等の関係について(第3回医療介護総合確保促進会議参考資料1 厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000056873.pdf
政府・自治体(WAMNET)
https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/top/fukushiworkguide/jobguideworkplace/jobguide_wkpl60.html
厚生労働省設置法(平成十一年法律第九十七号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000097_20230526_505AC0000000036
文部科学省設置法(平成十一年法律第九十六号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=411AC0000000096_20230401_504AC0000000076
平均寿命23.3年 ~2022年 業歴30年以上「老舗」企業の倒産~(東京商工リサーチ(TSR))
https://www.tsr-net.co.jp/data/detail/1197369_1527.html#:~:text=%E7%94%A3%E6%A5%AD%E5%88%A5%E3%81%AE%E5%B9%B3%E5%9D%87%E5%AF%BF%E5%91%BD,%E3%81%8C53.3%EF%BC%85%E3%81%A0%E3%81%A3%E3%81%9F%E3%80%82
医療計画に係る都道府県職員研修(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000194369.html

2.医療法

医療提供に関する法律
以下はその一部で「地域医療」の側面からピックアップすべき部分として
抜粋しています.

医療法で定められていること

医療提供施設

医業を行う場以外も医療提供施設
病院
医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所であつて、二十人以上の患者を入院させるための施設を有する
診療所
医師又は歯科医師が医業又は歯科医業を行う場所であつて、患者を入院させるための施設を有しないもの又は十九人以下の患者を入院させるための施設を有する
介護老人保健施設
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に規定
介護医療院
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)に規定
調剤を実施する薬局
「この法律において」定められていない
(医薬品医療機器等法)薬剤師が販売又は授与の目的で調剤の業務並びに薬剤及び医薬品の適正な使用に必要な情報の提供及び薬学的知見に基づく指導の業務を行う場所
その他の医療を提供する施設
例えば介護保険法では訪問看護について記されているが「提供する施設」としての事業所である訪問看護ステーション(そのような文言は法文に出てこないが)
助産所(医療法において医療提供施設とされていないものの医療法で定められている施設)
助産師が公衆又は特定多数人のためその業務を行う場所
妊婦、産婦又はじよく婦十人以上の入所施設を有してはならない

医療計画

都道府県は、基本方針に即して、かつ、地域の実情に応じて、当該都道府県における医療提供体制の確保を図るための計画(以下「医療計画」という。)を定める
地域における病床の機能の分化及び連携の推進
病院又は診療所であつて療養病床又は一般病床を有するもの(以下「病床機能報告対象病院等」という。)の管理者は、地域における病床の機能の分化及び連携の推進のため、厚生労働省令で定めるところにより、当該病床機能報告対象病院等の病床の機能に応じ厚生労働省令で定める区分(以下「病床の機能区分」という。)に従い、所在地の都道府県知事に報告しなければならない
都道府県は、構想区域その他の当該都道府県の知事が適当と認める区域(第三十条の十六第一項及び第三十条の十八の四第三項において「構想区域等」という。)ごとに、診療に関する学識経験者の団体その他の医療関係者、医療保険者その他の関係者(以下この条において「関係者」という。)との協議の場(第三十条の十八の四第一項及び第二項並びに第三十条の二十三第一項を除き、以下「協議の場」という。)を設け、関係者との連携を図りつつ、医療計画において定める将来の病床数の必要量を達成するための方策その他の地域医療構想の達成を推進するために必要な事項について協議を行うものとする。
医療従事者の確保等に関する施策等
都道府県は、次に掲げる者の管理者その他の関係者との協議の場を設けこれらの者の協力を得て、同項各号に掲げる医療計画において定める医師の確保に関する事項の実施に必要な事項について協議

参考

医療法(昭和二十三年法律第二百五号)(e-GOV)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=323AC0000000205
介護保険法(平成九年法律第百二十三号)(e-GOV)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=409AC0000000123
(医薬品医療機器等法)医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=335AC0000000145

3.奈良県の医療計画

実状に応じる必要があるので定期的に改訂されている(当然と言えば当然ですが)
奈良県のように「保健医療計画」とされているケースが大半

保健と医療

保健・・・自身が対応(専門職者からのアドバイス)
医療・・・専門職者が対応
医療と保健は密接な関係
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保健の領域

一次予防
健康から逸脱しないような生活の実践(未然に防ぐ)
二次予防(保健→医療)
早期に疾患を発見する(重症化を防ぐ)
三次予防(医療→保健)
リハビリテーション(機能の回復)

医療の領域

一次医療(保健+医療)
日常的な健康相談、健康管理や頻度の高い一般的な疾病の治療
二次医療(医療→保健)
入院に係る医療
三次医療(医療→保健)
特殊な診断や治療を必要とする高度又は専門的な保健医療サービス

参考

奈良県保健医療計画(奈良県)
https://www.pref.nara.jp/2740.htm
医療計画(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/iryou_keikaku/index.html
水嶋春朔,予防医学のストラテジー,綜合臨牀 53 (9) 2399-2405, 2004.
https://mol.medicalonline.jp/archive/search?jo=af2sgrsa&ye=2004&vo=53&issue=9

奈良県

二次医療圏(保健医療圏)は以下の通りだが・・・
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奈良県立医科大学 生物統計学2021(医学部医学科) より)
中和医療圏と聞くと県央を思い浮かべるかと思うが実際北側
<参考>奈良県公式サイトの「路線図」が色々おかしい 地元民も総ツッコミ「大嘘すぎる」「これはヤバい」(Jタウンネット)
https://j-town.net/2020/01/08299969.html?p=all

奈他県に無いもの

(奈良県だけないものは〇)
 日本銀行の本店・支店・事務所
 奈良県 栃木県 埼玉県 千葉県 岐阜県 三重県 滋賀県 和歌山県
 <参考>本店・支店・国内事務所(日本銀行)
 https://www.boj.or.jp/about/outline/location/jp_location.htm/
 赤十字病院
 奈良県 山形県 宮崎県
 <参考>赤十字病院施設一覧(日本赤十字社)
 http://www.jrc.or.jp/jrc_map/maplist1_all.html
 東京発着の公共交通機関(飛行機もしくは鉄道)
   奈良県 福井県 三重県
 <参考>なぜ、京都府と奈良県には空港がないのですか(yahoo知恵袋)
 https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11158740286
 <参考>フライト情報(日本空港ビルデング株式会社)
 http://www.tokyo-airport-bldg.co.jp/flight/
〇ラジオ局(民放連会員)
 奈良県のみ
 (参考情報)
 ちなみにテレビ局(民放連会員)の無い都道府県は茨城県のみ
 民放連会員放送局1社のみの都道府県は奈良県と茨城県
 会員社放送局(日本民間放送連盟)
 https://www.j-ba.or.jp/mlist/
 海が無い
  奈良県 栃木県 群馬県 埼玉県 山梨県 長野県 岐阜県 滋賀県
 (滋賀はびわ湖があるので・・・)
 <参考>みんなが選ぶ1番可哀想な「海なし県」はどこ?(Riddle puzzle)
 https://riddlepuzzle.com/archives/46381

医療の特徴

地理的な部分をとりまとめますと
・海が無い
・離島が無い
・人口がある程度集中している.
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地域の救急搬送状況の改善と今後の課題 より)
・一医大県
 ただし一県一医大構想よりも前に奈良医大は開学しており,県内には奈良医大と接点のある医師が多い.
 医育機関として,臨床研修機関として,研修会や学会等々.
 公立
 道立・・・札幌医科大学
 府立・・・京都府立医科大学
 県立・・・福島県立医科大学 奈良県立医科大学 和歌山県立医科大学
 市立・・・横浜市立大学 名古屋市立大学 大阪市立大学
 医療に関する都道府県の役割は拡大されている中での公立が担うべき役割は大きい.
 医療人材の特徴は,免許制度によるところが大きく他の産業分野のようとは異なる.
 故に一県一医大構想に繋がった.

統計データから特徴を見出すとき、変わった振る舞いをしているデータを探しています。
国の統計でよく見るのは一変量で全国平均との違いを見て判断する方法が多い.
ただしそのままでは比較できないものは割合に直して比較できる状態にして示している.
各自治体を並べて順番にして平均値を示せば意識が変わってそれぞれ原因を考えるだろうというところ.
 →テスト結果を貼り出して促すのと同じようなものでしょうか?
それぞれ原因が異なることを前提にすると対策を考えていくことが重要
 →テスト対策で上位になっても本質的な部分での実力が伴っているかは別問題

入院医療受療状況

患者調査(厚生労働省) のデータより
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/10-20.html
患者調査は医療実績に基づくものではなく調査票を用いたものなので,色々考慮しなくてはならないのですが・・・
医療圏で提供出来ていない疾病分類数を抜き出して全国の二次医療圏(344)で昇順に並べると
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比較すると当該医療圏で提供している疾病のバリエーションより住民が受療しているバリエーションの方が多い(234/344)

奈良県が描いた近未来の医療(奈良県保健医療計画(平成30年4月1日施行)より)

病院機能の分化・連携の推進

「断らない病院」と「面倒見のいい病院」の機能強化と連携の推進
「断らない病院」
救急医療や高度医療に責任を持って対応する
①緊急で重症な患者に対する救急医療、高度な医療を担う役割の向上
②転院先の病院との連携を強化するなどの退院支援の推進、在院日数の短縮
「面倒見のいい病院」
地域包括ケアシステムを支える
①在宅医療の実施又は支援、地域の医療・介護事業所等との連携強化
②在宅患者の増悪時の受け入れ、嚥下・排泄へのリハビリテーションなど在宅生活に必要な医療機能の向上
③介護施設等の施設入所者の状態悪化時の受け入れ
④地域の比較的軽症な患者に対する救急医療、高齢者の急変時の受け入れ
⑤認知症へのケア、認知症に対する医療の提供及び介護・福祉分野との連携強化

急性期機能の集約化

本県においては、中規模病院に医師が「散在」
地域の基幹病院に医師を重点的に配置し、急性期機能の集約化
地域で患者の生活全体を支える病院への機能転換

病床数の適正化

将来の医療需要の縮小を見据えて、病床数の適正化を含めた病院機能の転換や、医療機関の再編、統合

医師の適正配置と人材育成

将来の需給動向を踏まえた医師の養成・確保を進める
関係機関の理解と協力のもと、医療機能の分化と連携、地域包括ケアシステムの構築に対応した医師の適正配置

在宅医療体制の充実、医療と介護の連携強化

在宅医療において必要となる、「退院支援」、「日常の療養支援」、「急変時の対応」、「看取り」の4つの機能

奈良県が描く近未来の医療はやってくるのか

先にも述べた通り古くから一医大県であることなど,人的なネットワークがシンプル
これまでの事柄を振り返ると達成する土壌は出来ているように思う
ただし新型コロナウイルス感染症の存在であったり働き方改革など,当時想定していなじゃった事柄と直面して今を迎えている

例えば臨床研修医の件

地域医療充実のための臨床研修改革に取り組んで( 週刊医学界新聞第2894号 2010年9月6日 医学書院)
http://www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02894_04
公平(均一)ではなく均質なプログラム設定 → 手間がかかるものの顔の見える関係になる
県内に広げることで臨床研修病院の「現場の連携」に→地域を皆で考える

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北海道大学 病院経営アドミニストレーター育成拠点 産学官連携マネジメント論2018(分担:地域医療と産学官連携) より)
データの出典元:医師臨床研修マッチング協議会
https://www.jrmp.jp/

例えば医療機関の再編,統合の件

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(医師確保対策に関するデータ分析について(奈良県地域医療構想の実現に資する取り組み)(第45回日本診療情報管理学会学術大会 シンポジウム1 地域医療構想に向けた情報活用の取り組み)より)
ドクターズアテンション2013年8月
http://doctors-attention.com/introduction/data/pdf/%EF%BC%88%E6%94%B9%E8%A8%822%EF%BC%891308.pdf