奈良県立医科大学 医療情報学2020
(医学部医学科)

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響によりシラバスを一部変更しオンライン形式ではデータ分析を中心に,オフラインでは座学を中心に実施します.

現時点では対面とオンラインのハイブリッドですので,交互に進む格好になります
ハイブリッドですが諸々の事情で原則対面も一部(01,02,06回)はオンラインで実施します
授業メニュー(原則対面)
[01]第01回情報学(1)情報とは 講義見逃し配信

[02]第02回情報学(2)情報量の計算について 講義見逃し配信

[05]第03回情報学(3)ネットワーク技術について

[07]第04回情報学(4)情報セキュリティ

[09]第05回保健医療情報システム(1)医用画像について

[11]第06回保健医療情報システム(2)電子カルテについて 講義見逃し配信前半 講義見逃し配信後半

[12]第07回保健医療情報システム(3)施設内の情報システムについて

[14]第08回保健医療情報システム(4)施設間の情報システムについて


授業メニュー(原則オンライン)
オンライン配信はzoomを使います.接続情報はteams講義チャネルに掲載しています.
[03]第09回データ収集(1)厚生労働統計(医療)  講義見逃し配信

[04]第10回データ収集(2)厚生労働統計(医療保険) 講義前半 講義後半

[06]第11回統計分析(1)単変量解析 講義見逃し配信前半 講義見逃し配信後半

[08]第12回統計分析(2)多変量回帰モデル 講義見逃し配信前半(単変量延長編) 講義見逃し配信後半(多変量編)

[10]第13回統計分析(3)ロジスティック回帰モデル 講義見逃し配信前半 講義見逃し配信後半

[13]第14回統計分析(4)生存率 講義見逃し配信前半 講義見逃し配信後半

[15]第15回データの利用に関する諸問題・まとめ


第1回 情報学(T)−情報とは

到達目標
1−1医療の情報化について考えることが出来る
1−2データ 情報 知識の違いを説明することが出来る

情報化された医療とは

情報化・・・情報の流通および事柄の記録が増えていくこと
情報化社会・・・社会の中で情報の流通及び事柄の記録が増えていくこと
とすると
医療において情報の流通及び事柄の記録が増えていくこと

情報とは

戦争に関する本で翻訳する時の森鴎外による造語とされる
以下の論文参照
情報という言葉の起源,長山 泰介,ドクメンテーション研究 33(9), 431-435, 1983
http://ci.nii.ac.jp/naid/110002755644
情報という言葉の由来 [味村ノート](GPA Talks)
http://gpatalks.blog.so-net.ne.jp/2011-07-11

情報の特徴・・・モノではない
疑問)モノじゃないのであれば何を以て存在しているとするのか(モノじゃないので)
  →記憶されていたら/記録され活用されていたら
<参考>「記憶こそが時間。そしてそれこそが、人を支える」(オーナー 仮面ライダー図鑑)
https://www.kamen-rider-official.com/zukan/character/748

人の死・・・医学的な死/社会的な死 情報化社会により医学的な死を迎えても社会的に生き続けることが可能になったのでは?

<参考>【追悼】24年前、突如広まった“志村けん死亡説”とは何だったのか(文春オンライン)
https://bunshun.jp/articles/-/36979
<参考>「志村は死なないの」志村けん追悼番組での高木ブーに“考えをひっくり返された”(クイックジャパンウェブ)
https://qjweb.jp/column/24786/
疑問)情報が「存在」を失うことについてどのように測定したらよいのだろう

<参考>情報の寿命を表す指標:被引用半減期(情報の科学と技術 70巻(2020)1号)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/70/1/70_30/_article/-char/ja/

半減期・・・例えば放射能の場合,放射能を有する放射性同位元素が減少すること (消費スピードが早いほど放射線を出すがその分減少していく ⇔ 消費スピードが遅いほど減少しないが・・・)

たしかに情報で直接物理的な影響を及ぼすことは出来ないが,心理効果は期待できる(例えばマクロスとか)
20200911-12.png(352004 byte)
情報技術の発展により実空間から情報がサイバー空間に飛び出している.
ICTの話は通信技術の進展と情報技術のマッチングというところ.世界は変わりました.
20200911-13.png(372578 byte)
COVID-19流行期における保健医療と情報−ICTによるディスタンスコントロール− より)
joho20150613-5.png(149915 byte)
データ:
一次データと二次データの違い。
 一次・・・ライブ。対象からダイレクト
 二次・・・既に記録されたもの。まとめられたもの

情報:
データに意味を付与したもの
 ただし受信者の特性に依存

知識:
情報を体系化したもの。
受信者の知性は当然だが、提供されているデータや情報としての理解の度合いや誤解によって知識構造体に違いが出てくる。

joho20150613-6.png(111907 byte)
よりよい医療に貢献する医療情報技師の役割 より)

情報化

データを情報にしていくことが情報化
一つのデータで一つの情報 というわけでもない
(受け売り・・・一つの二次データで一つの情報)

情報を増殖させることが出来る(発信できる)できる人間なのか,情報を入手するだけの人間なのか
 →単なる思い付き・・・背景がないと薄っぺら あっという間に消費
 →授業を一コマする時点で引き出しを使い果たし呆然としたあの日
求められるのは研究視点では「新たな知見」簡単じゃないけど
教育の場合は,変わらない(であろう)本質と実態の乖離をわかりやすく示す情報に思う.
 →新たな知見というより新たな道筋と思うがこれも簡単じゃない

授業後補足

記憶と記録ですが,記録の場合仕舞われたままであればキッカケが無いと引っ張り出されてこないので,その中で人が紐づけられる格好でしょうか
記憶の場合は,当事者に関して他者の頭の中に残っている状態ですので


第02回情報学(2)情報量の計算について

到達目標
2−1情報量bitと確率の関係について説明することが出来る
2−2情報量の計算が出来る
2−3補助単位について説明できる
2−4画像や音や文字などどのようにして情報化(デジタル情報化)されているか説明することが出来る

情報の量

bit:シャノンの情報理論
AなのかAじゃないのか?明確に指定できる情報・・・1bit
事象の起こる確率によって決まる。確率の低い事象を確定する情報ほど大きくなる
I=-logP 事象の起こる確率によって情報の量が決まる
それぞれの事象の起こる確率が等しいならば選択肢の数(T)に書き換えると I=logT → 何が起こるのか想定しないと情報は取り扱えない・・・想定外の事象の情報量は計算できない(無限大)

デジタルの世界では1と0の情報の組み合わせであらゆるデータを取り扱っている
(但しデータの定義が必要)
情報量が大きいほどより細かい事柄を表現できる
kgufd20170120-10.png(252875 byte)
情報通信技術の活用による効果的な学修環境の構築について より)
色深度(bpp)
1bit
2bit
3bit

情報量の定義

yes/Noを区別(選択肢2つから1に)させる情報・・・1bit

選択肢4つから1にさせる情報・・・2bit
選択肢8つから1にさせる情報・・・3bit
選択肢は2のるい乗(べき乗)になる。

対数(log)・・・るい乗(べき乗)を求めることが出来る→選択肢から情報量を求められる

文字の情報量

英数字・・・7bit
+カナ・・・8bit=(1byte)半角文字

漢字は倍の2yte(全角文字)

情報量は文字数×1文字あたりの情報量

(余談)ローマ字「ん」の後ろにbmpが来る場合、nではなくmで表記(ヘボン式)namba(なんば)

色の情報量

光の3原色・・RGB
それぞれ256階調とすると、一色8bit
3色で8×3で24bit

情報量はマス目(ピクセル)数×1マス(ピクセル)あたりの情報量

nmumedinfo2020-0212.png(347362 byte)

補助単位

補助単位はキリのいい数字・・・切りの良い数字とは?
十進数の世界ち二進数の世界のキリのいい数字は異なる
十進数 10 二進数 1010
十進数 16 二進数 10000

K→M→G
十進数は1000
二進数は2^10=1024≒1000
キロ・・・kとK
nmumedinfo2020-0216.png(371330 byte)

音の情報量

空気の振動(粗密波)
Hz

人間の可聴域は20Hz〜20kHz
サンプリング定理:元の周波数の2倍以上でサンプリングすれば再現できる
<参考>標本化定理(サンプリング定理)とは(制御工学の基礎あれこれ)
http://arduinopid.web.fc2.com/M34.html

(余談)超音波とは可聴域を超えたところの周波数の音波・・・故に人には聞こえない(ハズ)

サンプリング周波数・・・どのぐらいの周期で音信号をひらっているか・・・CDは44.1kHz

情報量は音信号の情報量(16bit×2チャンネル=4byte)×1秒あたりのサンプリング数×曲の長さ(秒数)

nmumedinfo2020-0215.png(376901 byte)
(参考)なぜ650MBのCD-Rに74分の音楽が記録できるのでしょうか?
http://okwave.jp/qa/q2070273.html

授業後補足


第03回情報学(3)ネットワーク技術について

3−1ネットワークにはどのようなものがあるか挙げることが出来る
3−2コンピューターネットワークの速度の計算が出来る

デジタル化された情報の送受信→音 映像 写真 文字 どのような情報でもデジタル化すれば取り扱える
デジタル信号とアナログ信号の強さの違い
(アナログ)FMラジオ・・・ノイズが入ってもある程度聞こえる
(デジタル)ワンセグテレビ・・・ある程度まで見えていても急に画面が止まる
アナログ・・・連続している・・・情報そのまま(ノイズにより元の情報から変化)
デジタル・・・離散している・・・復号化しなくてはならない(ノイズにより元情報と違うものに変わってしまう恐れ)

ネットワークとは

繋がり(ノードとエッジの関係)
世の中には様々な繋がりがある
人間関係・・・様々な情報が集まる
(余談)私のブログ・・・弱いこともいいことだ(御卒業おめでとうございます)・・・当時の卒業生へのメッセージ
http://medbb.exblog.jp/19464438/

電話(音声通信)ネットワーク・・・無線化(携帯電話)により開発国で整備が進む
高速道路ネットワーク
航空ネットワーク・・・ハブ空港の存在
ヨーロッパを舞う飛行機ルートを可視化
東京駅から日本全国への「到達所要時間マップ」 - Yahoo! JAPANビッグデータレポート
テレビ局ネットワーク・・・各系列が広範囲に情報を
(余談)腸捻転
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%85%B8%E6%8D%BB%E8%BB%A


コンピューターネットワーク・・・様々な情報(文字・音・写真・音楽・映像)を流せる
インターネット・・・ネットワークとネットワークが繋がって形成(蜘蛛の巣状)・・・スケールフリーネットワーク →故障に強いが、攻撃には弱い

インターネット上で様々な(人的)ネットワークが作られている・・・LINE Facebook Twitter Mixi etc.

電話回線にも規格が決められているようにインターネットでも規約がある・・・プロトコル

通信速度

bps(秒あたりの情報量)・・・距離は関係ない
1200bps・・・1秒当たり全角(日本語)75文字を伝えることができる
(私が最初に経験した300bpsの時代は1秒当たり20文字・・・一行40文字とすると2秒かかってしまう)
携帯電話にみる通信速度の変遷
アナログの世界(通話)→デジタルの世界(通信)
アナログ携帯(第1世代)の通信速度(通話のみ)
https://www.youtube.com/watch?v=EpxmB1e0FKA
デジタル携帯(第2世代(PDC))の通信速度(2400bps→9600bps)
https://www.youtube.com/watch?v=SI8nRqGZt2A
https://www.youtube.com/watch?v=gEhgRL9_1YY
https://youtu.be/InnZUrTA1X8
https://youtu.be/mTtURP7HF0o
デジタル携帯(第2.5世代cdmaOne)の通信速度(64kbps)
https://www.youtube.com/watch?v=djvB1pGaaDc
デジタル携帯(第3世代VGS/FOMA)の通信速度(7.2Mbps/384kbps)
https://www.youtube.com/watch?v=7V1E6QKJIvE
デジタル携帯(第3.5世代FOMA Hispeed)の通信速度(14Mbps/5.7Mbps)
https://www.youtube.com/watch?v=Spju5CGMhmc
デジタル携帯(第3.9?世代4G-LTE)の通信速度(110Mbps/10Mbps)
https://www.youtube.com/watch?v=VJg3AfXKSkE
https://www.youtube.com/watch?v=LDyzk4ZAJAY
デジタル携帯(第5世代5G)の通信速度(10Gbps)
https://www.youtube.com/watch?v=rWfRyJqVWRY&feature=youtu.be
一気に振り返る動画
https://www.youtube.com/watch?v=UcLyd1otlI8
https://www.youtube.com/watch?v=k0iIqAPJj6s

まとめるポイント

1)1Mbyteのデータを1Mbpsの回線で転送するときにかかる時間は?(ネットワークの伝送効率は100%とする)
2)1Mbyteのデータを1Mbpsの回線で転送するときにかかる時間は?(ネットワークの伝送効率は20%とする)

第04回 情報学(4)−情報セキュリティ

到達目標
4−1情報セキュリティの定義(3要素)について説明出来る
4−2暗号化の必要性について説明できる

技術的な話が良く出てくるが、どうしても人が絡むところ(運用)が弱くなる
情報セキュリティ・・・情報の機密性、完全性、可用性の確保
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/intro/security/index.html


技術的な話

インターネットの世界は公共の場 → トンネル → 暗号化通信 例:SSL通信(https)
joho20160722-42.png(168026 byte)
データを「わかりやすく」と「わかりにくく」と −医療分野の情報化− より)

平文→暗号文  暗号化
暗号文→平文  復号化

http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/basic/structure/02.html
暗号の例
転置式暗号・・・文字の並べ替え
換字式暗号・・・ポリュビオスの暗号表・・・ポケベル
<参考>
ポケットベル(通信用語の基礎知識)
https://www.wdic.org/w/WDIC/%E3%83%9D%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%99%E3%83%AB
ポケベルCM
https://www.youtube.com/watch?v=03qGc2LlJ0E
これ読めますか?「045105110」懐かしのポケベルのメッセージ27選(マネーフォワード)
https://biz.moneyforward.com/blog/business-hack/pocketbell/
ポケベルまもなく終了、秋葉原では「お葬式」も(IT media)
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1909/30/news113.html

運用上の話

【資料】SNS時代における個人情報保護と情報セキュリティ
http://www.medbb.net/wiki/index.php?sp%2F20140829kosakawh
【資料】特別講義 漏洩と拡散の危機から情報を守る考え方
http://www.medbb.net/education/joho20150724/index.html
その警告メッセージ、信じて大丈夫? ブラウザの“偽警告”にご用心! (IPA)

設定と管理のあり方− IDとパスワード(総務省安心してインターネットを使うために)
http://www.soumu.go.jp/main_sosiki/joho_tsusin/security/basic/privacy/01-2.html
この中で、パスワードの定期変更の話が出てくるが、今は変えない方推奨
パスワード「90日ごとに変更」は間違い? ルール提唱者が「後悔」(ITmedia)
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1708/18/news072.html
会見で語られた「ドコモ口座」不正利用、問題点と対策は(ケータイWatch)
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1276379.html
緊急解説 なぜ起きた?「ドコモ口座」不正引き出し(2020年9月11日)(テレ東ニュース)

まとめるポイント

1)セキュリティは技術的な話だけではなく運用によるところも大きい
2)暗号化−復号化ができるように

本日の課題

次の文の暗号を解読せよ.なおローマ字(訓令式)で書かれたものをシフト暗号で暗号化したものである.
uyryqgfyuyryqg
uyryqglmemfyl
yqsfyggrclig
lypyiclpgrsgiybygeyis
<参考>
ヘボン式ローマ字(神奈川県パスポートセンター)
https://www.pref.kanagawa.jp/osirase/02/2315/hepburn.html
訓令式・ヘボン式ローマ字教育の功罪(2013PCカンファレンス)
https://gakkai.univcoop.or.jp/pcc/2013/papers/pdf/pcc058.pdf

第05回保健医療情報システム(1)医用画像について

5−1DICOM規格について説明できる
5−2画像検査の種類や特徴について説明できる

DICOM

医用画像のデジタル保存・伝送に関する規格 http://medical.nema.org/Dicom/about-DICOM.html

デファクトスタンダード

http://e-words.jp/w/%E3%83%87%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%AF%E3%83%88%E3%82%B9%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%80%E3%83%BC%E3%83%89.html

放射線を利用した画像について

被曝の話
PET検査と放射線について(PET検査ネット)
http://www.pet-net.jp/pet_html/treat/radioactivity.html
外部被曝と内部被曝の違いを整理しておいてください(宇宙から 大地から が外部被ばく。空気中(吸入) 食べ物(摂取))

X線写真

アナログからデジタルへ移行(銀塩写真→デジタルカメラ)
反射光を記録するのではなく透過光を記録
物質により透過具合が違う
造影剤は画像の濃淡を増強させるため

画像を取得しながらそのまま治療 → IVR
愛知医科大学IVR 治療を受けることになりました。どのような治療ですか?

CT

コンピューター断層撮影
(アナログの)断層撮影もあるが、全く違うロジック
 →アナログでは成立しなかった画像
横から見ているのに上から見た状況を推測
joho20160611-1011.png(200840 byte)
joho20160611-13.png(123998 byte)
joho20160611-14.png(124427 byte)
joho20160611-16.png(127116 byte)
joho20160611-21.png(121653 byte)
「医療とコンピュータ」これまでとこれからと より)

CT MRI動画 (メディカルトピア草加病院)
https://www.youtube.com/watch?v=jqaJIKOdc6o
CTで撮影する際の注意とMRIの場合の違いなど見ておいてください
くも膜顆粒のCT、MRI画像所見 (画像診断チャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=fQXhrDiVa_A
一緒な部分の撮影でもCTとMRIで異なる

MRI

強力な磁場の中で電磁波(ラジオ波)を利用。放射線を使わない。
磁力は感じなくても音のすごさに驚く検査
HOW TO サイエンス (9)からだの中を見る方法 MRI(サイエンスチャンネル)
https://www.youtube.com/watch?v=yeoIE5BmSrc
MRIで硬さを調べる以降は自宅でご覧ください

アクシデント
失敗百選 〜MRIにボンベが引き込まれて男児に衝突〜
http://www.sydrose.com/case100/257/
MRIの危険性03「絶対に外れない車椅子」医療安全教育
https://www.youtube.com/watch?v=av3ABf7s3E8

核医学検査

放射性同位元素を体内に投与
代謝を見る
そこから出てくる放射線(γ線 PETは消滅放射線)を外側で検出
ガンマカメラ
γ線を検出して平面像を得る
SPECT
ガンマカメラのCT版
PET
陽電子放出核種を利用
札幌東徳洲会病院 PET-CT検査紹介動画
https://www.youtube.com/watch?v=0g6rn0ZtlXE

超音波

音波を利用
反射するまでの時間を距離に変換
救急腹部エコー検査(日経BP)
https://www.youtube.com/watch?v=IldE_FzvQwI
【4Dエコー】笑撃!超音波で赤ちゃんがまさかのポーズ?!パパ似?ママ似?【妊娠経過報告】(らいトンちゃんねる Raiton Channel) https://www.youtube.com/watch?v=9HJWq7rWVNI
音の反射時間から立体動画が作成される時代

内視鏡

国内機器メーカーが圧倒的シェア
上記の医用画像との違いは、体の中を診るのに体外からアプローチしていたのを、体内に機械を放り込むところ
生検が可能
ききょうの丘健診プラザ: 胃内視鏡検査の受け方
https://www.youtube.com/watch?v=bHxCoEJ29Gg

本日の課題


各セルの数値を推定せよ(数値は平均値=合計/セル数)
nmumedinfo2020-0501.png(22260 byte)

授業後補足

各セルの数値
nmumedinfo2020-0502.png(1524 byte)

第06回保健医療情報システム(2)電子カルテについて

到達目標
6−1カルテに記載される情報について説明できる
6−2電子カルテの必要な要件について説明できる
6−3電子カルテの意義と問題点について説明できる

診療録は医師法(資格法)において義務が定められているのがポイント(医療機関の話=医療法ではない)
医師法第24条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。
同   第2項 前項の診療録であつて、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、五年間これを保存しなければならない。
診療に関する諸記録は医療法

医師法で定めている理由としては、ともかく医療行為を行ったことの記録(というレベル)
故にキチンと記録しないと大変なことになる

医療事故と診療記録 : 関連する法律問題との関係から,前田 正一,日産婦誌,59(9) N-519-522,2007
http://www.jsog.or.jp/PDF/59/5909-519.pdfより引用
たとえば,岐阜地方裁判所昭和49年3 月25日判決は,一般論であるが,「…医師法第24条によれば,医師は患者を診察したときは診療に関する事項を記載した診療録(カルテ)を作成し,これを5 年間保存しなくてはならないところ,カルテの作成,保存を医師に義務づけたのは,医師の診療行為の適正を確保するとともに患者との関係で後日医師の診療をめぐって生起するかもしれない問題(再診療,医療費請求,医療過誤による損害賠償請求等)の法的紛争についての重要な資料となるものでありカルテに記載がないことはかえって診察をしなかったことを推定せしめるものとすら一般的にはいうことができるからである」と判示している.
<参考資料>
法令上作成保存が求められている書類(第9回医療情報ネットワーク基盤検討会(厚生労働省))
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/06/s0624-5e.html
他の医療関係記録に関する現行法令上の規定(抜粋)
(第10回「医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会」(厚生労働省))
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/10/s1005-14b.html

電子カルテ

概念が広がっている 情報は「モノ」じゃない。物理的な制限は記録メディアに依存する。複製は簡単

「電子カルテ」は「電子」化したことにより空間の制限を超えることができる

EMR(Electric Medical Record)
施設内の診療録(カルテ)および診療情報を電子化し活用・・・法令上の枠組みの世界(情報の保存場所)
<参考資料>
(2)医療・介護・健康分野におけるICT利活用の推進(第2部第5節ICT利活用の推進−平成29年版情報通信白書)
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h29/html/nc275120.html
医療の効率化・質の向上へ貢献するEHR/PHR,熊田総佳,山口聡 他,NTT技術ジャーナル 22(10),8-14,2010
http://www.ntt.co.jp/journal/1010/files/jn201010008.pdf
http://www.ntt.co.jp/journal/1010/

ISOUKAIx 医療情報 @黒田知宏先生 「それって『電子カルテ』ですか?」
https://www.youtube.com/watch?v=0jvcfrEol7g
電子カルテから症状を読み取る IBM Watson Explorer(IBMJapanChannel)
https://youtu.be/Psuy1ARK2aU
電子カルテは単なる記録するためのものではなく利便性の向上と活用できる環境へ(次回に続く)

法的に保存義務のある文書等の電子保存の要件

電子媒体の保存の話 → 紙媒体ならば自然に出来ていた事柄
・真正性の確保
 (ア)故意または過失による虚偽入力、書換え、消去及び混同を防止すること。
 (イ) 作成の責任の所在を明確にすること。
・見読性の確保
 (ア) 情報の内容を必要に応じて肉眼で見読可能な状態に容易にできること。
 (イ) 情報の内容を必要に応じて直ちに書面に表示できること。
・保存性の確保
 電磁的記録に記録された事項について、保存すべき期間中において復元可能な状態で保存することができる措置を講じていること。

医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第5版(平成29年5月)(厚生労働省)より抜粋
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000166275.html

個人情報の保護

個人情報保護法

個人情報保護法の基本(個人情報保護委員会事務局)
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/28_setsumeikai_siryou.pdf
改正により変更した事柄
5000件用件の撤廃
個人情報の定義に個人識別符号が追加
要配慮個人情報
匿名加工情報
などなど・・・
<参考>法令・ガイドライン等(個人情報保護委員会)
https://www.ppc.go.jp/personal/legal/

刑法

刑法第134条
医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産師、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職にあった者が、正当な理由がないのに、その業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、六月以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。
「医師が患者情報についての守秘義務を免れるのは、患者本人が同意・承諾して守秘義務を免除した場合か、または患者の利益を守るよりもさらに高次の社会的・公共的な利益がある場合である。近時の最高裁判例には、患者の尿中に覚せい剤反応が出たことを警察に通報した行為は違法ではないとしたものもある。さらに、児童虐待の通告、配偶者からの暴力の通報、「養護者」による高齢者虐待の通報など、それらが法律の守秘義務違反とはならないことを明示する法律もある。」
医師の職業倫理指針[第3版](日本医師会)P9より引用
https://www.med.or.jp/doctor/member/000250.html
正当な理由に関するところは以下の資料を参照
<参考>
秘密漏示罪と医師の守秘義務(松宮孝明 立命館大学法科大学院研究科長)(医療と法ネットワーク)
http://www.kclc.or.jp/medical-legal/public/files/column/vol_18_matsumiya.pdf
最高裁判例 事件番号平成17(あ)202 事件名覚せい剤取締法違反被告事件(裁判所)
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50093
公務員の告発義務とその方式について(北海道町村会 法務支援室)
http://www.h-chosonkai.gr.jp/justice/?p=1612

子ども虐待診療手引き(日本小児科学会)
2.子ども虐待への対応に関する法律
https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/abuse_2.pdf
https://www.jpeds.or.jp/modules/guidelines/index.php?content_id=25
医師の守秘義務について(日本医師会)
http://www.med.or.jp/doctor/member/kiso/d12.html

まとめるポイント(到達度確認)

1)電子カルテに必要な3用件をまとめよ
2)医師,保健師,助産師,看護師,理学療法士,診療放射線技師について秘密漏示が定められている法律をそれぞれを挙げよ

授業後補足


第07回 保健医療情報システム(3)−施設内の情報システムについて

到達目標
7−1病院内の情報システムにどのようなものがあるか説明できる
7−2オーダーエントリーシステムと電子カルテの情報の違いについて説明できる
7−3病院情報システムに求められる用件を説明できる

病院情報システム

HIS(Hospital Information System)
狭義のHIS・・・オーダーエントリーシステム
広義のHIS・・・電子カルテも含めた病院全体のシステム
電子カルテの導入は病院全体の話
ISOUKAIx 医療情報 A竹村匡正先生 「失敗するプロジェクト 〜電子カルテ導入物語〜」
https://www.youtube.com/watch?v=pSYM9u6yveY

病院情報システムの発展の歴史

医事会計システム(レセコン=レセプトコンピュータ)がスタート
(レセプト・・・診療報酬明細書)
 医療機関からの請求。電子化が進む
 患者の知らない診療明細 レセプト(ロハス・メディカル)
 http://lohasmedical.jp/archives/2009/03/post-39.php
  医療情報システム(オーダエントリ・電子カルテシステム)導入調査(JAHIS 一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会)
 https://www.jahis.jp/action/id=57?contents_type=23
 発展の鍵は費用対効果?
 医事会計電子化・・・デジタル加算(アナログ減算)
 オーダーエントリー・・・コスト漏れが防げる
 電子カルテ・・・?

オーダーエントリーシステムと電子カルテの機能の違い

 オーダー伝達と結果参照の話
 電子カルテの定義に関する日本医療情報学会の見解(日本医療情報学会)
 http://www.jami.jp/medicalFields/Documents/eKarte.pdf
 電子カルテの位置づけと機能のところがポイント

PACS

Picture Archiving and Communication System
DICOM規格の話
(画像の発生と転送時間の計算が出来るように)

病院情報システムに求められる用件

・処理の確実性
 システムが肥大化しており影響も広範囲に
・システムの頑健性
 いまさら代替手段がない
・データの冗長化
 無駄なように見えて無駄じゃない
・データの継続性
 csv(Comma-Separated Values)に出来ればなんとかなる
・データの機密性
 公的な性質を持つ情報システムほど機微な情報が集まる
・分かりやすい操作性
 特別な教育がなくとも使える
・早いレスポンス
 クライアント側で処理させるか、サーバーサイドで処理させるか、プリフェッチ(事前に読み込み)
・低コスト性
 全体のコストで見ないと

システム運用のメリットデメリット

システム運用のメリット

情報伝達が迅速
転帰や再入力が不要
閲覧様式が自在
正確な情報収集
検索・集計が容易
保存スペースが小さく長期保存可
情報へのアクセスが迅速
紛失リスクが少ない

紙運用のメリット

情報収集の柔軟性
近くの人への情報伝達の手軽さ
真正性の確保(甘さ?)
運用変更への対応
情報の分散管理

情報システム間の連携

IHE - 医療情報統合化への挑戦(日本IHE協会)
http://www.ihe-j.org/movie/index.html

繋がり始めるとメリットがあれば施設内にとどまる必要はないので施設を飛び越える

授業後補足


第08回 保健医療情報システム(W)−施設を超えた情報システムについて

到達目標
8−1遠隔医療の類型にどのようなものがあるか説明できる
8−2地域医療連携情報システムが


遠隔医療

元々は遠隔地を結ぶ格好で地域に医師がいない部分を補うために「遠隔医療」として行われていた.

遠隔医療システムの類型

DtoD(Telemedicine)
医療者対医療者
一人の医療者が全ての専門知識を持っているわけでは無い
専門医制度
http://www.japan-senmon-i.jp/
テレラジオロジー(放射線科医による読影)(ビデオ)
テレパソロジー(病理医による病理診断)術中迅速診断
テレカンファレンス(他施設の医療者との症例検討)
平成29年度5G総合実証 遠隔医療(総務省動画チャンネル)
https://youtu.be/0t6-YjaT1wo
情報に出来ない「モノ」伝送できないので・・・
ドローンで医療品を離島へ輸送 香川(SankeiNews)
https://youtu.be/EWOjXW0CSxM
命を救うドローン ルワンダで医薬品や血液を輸送 (BBC News Japan)
https://youtu.be/IF-GItooN8I
DtoP(Telecare)
医療者対患者
医師法第20条の解釈
各論的事項 16 「遠隔医療」(日本医師会)
http://www.med.or.jp/doctor/member/kiso/d16.html
遠隔医療拡大に対応し職能追求を(薬事日報)
https://www.yakuji.co.jp/entry63463.html
スマホでできる遠隔診療・健康相談 ポケットドクター(Pocket Doctor)
https://youtu.be/ByYcE492RfQ
【Nスタ】オンライン診療予約急増、コロナ感染疑いある患者も(TBS NEWS)
https://youtu.be/mpyEBTp64mY
初診オンライン診療 厚労省が難色(テレ東NEWS)
https://youtu.be/EI_4akjdYtE

PtoP
患者対患者
Communication Network Analysis in Maternity Hospital Bulletin Board System
Journal of Medical Systems(31/2)141-148 Shunji Suto, Nobuyuki Ashida, Terumasa Higashi, Hideo Takemura, Koji Kurimoto and Shiro Yorifuji

 

地域医療連携情報システム

目的:病院完結型医療ではなく、地域完結型医療を達成するにあたって医療機関間のスムーズな連携の支援
地域により事情が異なるのでシステムの持つ機能は様々
ohsumedinfo2018-0801.png(11538 byte)
ICT を利用した全国地域医療連携の概況(2016 年度版) 日医総研ワーキングペーパーより作成

医療情報連携基盤

医療機関において保存されている患者ID に紐づけられる情報を対象とした情報連携基盤
(情報連携基盤・・・「番号」に係る個人情報を情報保有機関間でやりとりするための電子情報処理組織)
平たく言うと,診療情報は医療機関単位で記録・管理・利用される診療情報であるが利用は地域の他の医療施設でも可能とするもの
電子化することで可能となる(紙だと物理的に困難)
そのためには医療施設ごとに異なるIDをどのように読み替えるか・・・地域共通ID→医療等ID

地域医療連携ネットワークを用いた診療所と病院の双方向連携事例紹介 (FujitsuHealthCareSolution)
https://youtu.be/Ar3lvpPXBOs

奈良県へき地における医療提供体制の現状と今後について
http://www.medbb.net/education/naracommed20191030/index.html
未来は地域を超えた情報共有も
【5G】FUJITSUが5Gで実現する社会〜医療編〜(富士通)
https://youtu.be/TDmPhVtnNbg
ホームドクター2006−近未来の地域医療−(第23回日本医学会総会1991京都)
https://www.youtube.com/watch?v=5Fy17NuNG_k

地域包括ケア 在宅医療の流れを考慮すると施設間を飛び越えたネットワークの時代
<参考>
医療情報連携ネットワーク支援Navi(厚生労働省)
http://renkei-support.mhlw.go.jp/
被保険者番号を「医療等ID」として運用へ 厚労省が仕様まとめる(Med IT Tech)
https://medit.tech/mhlw-announced-scheme-of-medical-id/
特別講義COVID-19流行期における保健医療と情報−ICTによるディスタンスコントロール−
https://www.medbb.net/education/joho20200911

授業後補足

<課題> 私の経験では管理のために付与されたものが電話番号を利用したものであったり,メールアドレスであったり.あとはシーケンシャルに付与するものもあったりなんらかの意味を付与したものもあったりします.
学籍番号の場合は例えば西暦下二桁+学科番号+シーケンシャルに付与 というものもありました.
そこで,皆さんがこれまでに取得したID(例えば受験番号)がどのような構造なのか一つ選んでまとめてください.
例えばチェックデジットの話も出てくるかと思いますが
<参考>
大阪赤十字看護専門学校 情報科学2020
https://medbb.net/education/orcinfo2020/

第09回データ収集(1)厚生労働統計(医療)

到達目標
9−1医療に関する統計情報がどのような格好で取得されているか説明できる
9−2実際にデータを取得,加工できる
9−3目的に応じたグラフを作成できる
本年度ここら辺のデータを基にして地域の関係を可視化した話を発表してきました.
nmumedinfo2020-0902.png(377073 byte)
nmumedinfo2020-0903.png(294660 byte)
nmumedinfo2020-0904.png(17370 byte)

(患者調査および 医師・歯科医師・薬剤師統計を用いた医療連携ネットワークの抽出(第24回日本医療情報学会春季学術大会(シンポジウム2020Web))より)

厚生労働統計一覧
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/index.html
2.保健衛生(厚生労働統計一覧)
2.1.医療(施設)
2.2.医療(従業者等)
2.3.医療(患者)

平成30(2018)年医療施設(動態)調査・病院報告の概況

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/iryosd/18/
調査の目的,対象,調査方法,集計,表章記号の規約の確認
統計表一覧(政府統計の総合窓口e-Stat)
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&toukei=00450021&tstat=000001030908

「Z3 第3表(報告書第3表) 病院数・病床数,年次・開設者別」のDBボタンをクリックすると,表形式のデータを閲覧できる

1)平成29年医療施設(静態・動態)調査
E20病院数,診療録電子化(電子カルテ)の状況・二次医療圏別

医師・歯科医師・薬剤師統計*(旧:医師・歯科医師・薬剤師調査)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/33-20.html
2)平成30年医師・歯科医師・薬剤師統計
閲覧29 医療施設従事医師数(主たる従事先),主たる診療科、主たる従事先の勤務日数、宿直・日直回数別

受療行動調査(一般統計)

https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/34-17.html
医療施設を利用する患者について、受療の状況や受けた医療に対する満足度等を調査
取り扱う表
3)平成29年_受療行動調査 受療行動調査
閲覧表 基本集計 13患者の構成割合,性、年齢階級、心身の状態全項目、外来−入院別

本日の課題

本日授業で取り扱った1~3について
データの切り口やまとめ方は,各自違ってよいですよ.
グラフの名前も付けてください.
1)奈良県各医療圏の診療録電子化の状況が近畿厚生局管内でどのような位置付けにあるのかわかるグラフ
参考
nmucpmentor2019-01.png(170657 byte)
奈良県立医科大学 キャリアパス・メンター実習2019(分担:地域医療学)より

10月1日分の課題は1だけで良いです.2)3)は次回のオンラインで行います
2)診療科別で宿日直の観点から勤務状況が分かるようなグラフ
3)心身の状態が年齢や性別,入院や外来などの状況によりどのような変化をしているのか示すグラフ

第10回データ収集(2)厚生労働統計(医療保険)

到達目標
10−1医療に関する統計情報がどのような格好で取得されているか説明できる
10−2実際にデータを取得,加工できる
10−3目的に応じたグラフを作成できる
2),3)の話は前回資料参照
厚生労働統計一覧
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/index.html
5.社会保険(厚生労働統計一覧)
5.1.医療保険(医療費)
社会医療診療行為別統計(旧:社会医療診療行為別調査)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/26-19.html
行政記録情報(NDB)を用いている.
オンライン関連のデータを年で比較
第8表 医科診療 件数・診療実日数・回数・点数,診療行為(細分類)、入院−入院外別
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450048&tstat=000001029602&cycle=7&tclass1=000001140767&tclass2=000001140768&tclass3=000001140769&stat_infid=000031952954
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450048&tstat=000001029602&cycle=7&tclass1=000001130155&tclass2=000001130156&tclass3=000001130437&stat_infid=000031833867
<参考>
オンライン診療に関するホームページ(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryou/rinsyo/index_00010.html オンライン診療料とオンライン医学管理料(MedionLife)
https://medionlife.jp/guidebook2/
第8表 医科診療 件数・診療実日数・回数・点数,診療行為(細分類)、入院−入院外別を利用して集計

本日の課題

国民医療費
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/37-21.html
国民医療費,年次・制度区分別
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450032&tstat=000001020931&cycle=8&tclass1=000001133083&tclass2=000001133084&stat_infid=000031861534
を用いて2005年を1とした時に17年迄どのような推移になっているかグラフを作成せよ
<参考>
naracommed20190313-04.png(200693 byte)
奈良県の医療を取り巻く状況についてより

授業後補足

この2回シリーズで4つの医療資源の話を少ししましたが以下のような整理です
setonet20160521-53.png(163855 byte)
地域と医療の統合に資する 情報活用の考え方 −不足の観点からみる医療2.10− より)

第11回統計分析(1)単変量解析

到達目標
11−1 EZRを起動できるようになる
11−2 ファイルを取り込み整えた上で分析できるようになる.
必要に応じて生物統計学 第10回 相関係数・回帰直線 を参照のこと
https://medbb.net/education/nmubiostat2020/index.html#10
今日の素材
病床機能報告(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055891.html
病床機能報告は容易に入手できる貴重な個票データ!!
普通はいろいろ手続き必要!!
例えば公開されているところ・・・
SSJDAで公開しているデータについて(独立行政法人労働政策研究・研修機構)
https://www.jil.go.jp/kokunai/statistics/archive/datalist_ssjda.html
施設当たりの医師と看護師の数に相関があるのか

同じようなデータですが集計されているデータでも同じような分析を
医療施設調査(厚生労働省)
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/79-1.html
E701病院当たり従事者数,精神科病院−一般病院・医師−薬剤師−看護要員・都道府県−指定都市・特別区・中核市(再掲)別
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&layout=datalist&toukei=00450021&tstat=000001030908&cycle=7&tclass1=000001123595&tclass2=000001123598&stat_infid=000031780743

個票データと集計データの違い

同じデータでも個票データで分析する場合と,集計データで分析する場合の違い
個票データ
(あるある)EZRで問題となるのはファイル読み込めない(エンコード問題)
UTF-8 BOM有
nmumedinfo2020_11a.csv
UTF-8 BOM無
nmumedinfo2020_11anb.csv

授業後補足

手を抜こうとしたら,大きな沼にはまった感じで失礼しました.
説明していた時のデータとcsvのデータが少し違う感じだったのですが,3000行で区切ってしまったものが,授業中提示したもの
私が計算していたのはフルに使っていたもので以下のものでした.
UTF-8 BOM無
nmumedinfo2020_11a2nb.csv
次週はコチラのデータを使って解説するところからです.
グループ別の平均のデータは以下ですが,上のデータから作成してください(UTF-8BOM無し)
nmumedinfo2020_11a2nbavg.csv

第12回統計分析(2)多変量回帰モデル

到達目標
12−1 EZRで多変量解析をできるようになる
12−2 ファイルを取り込み整えた上で分析できるようになる.
(とりあえず先週の取りこぼししてから)
nmumedinfo2020_12.csv
病床機能報告H30データ(厚生労働省)を加工して作成
> #####線形回帰(単回帰、重回帰)#####

> library(aod, pos=17)

> RegModel.1 <- lm(医師常勤~DPCダミー+医師非常勤+一般病床稼働病床数+看護師常勤+三次救急ダミー+療養病床稼働病床数, + data=Dataset)

> res <- NULL

> (res <- summary(RegModel.1))

Call:
lm(formula = 医師常勤 ~ DPCダミー + 医師非常勤 + 一般病床稼働病床数 + 看護師常勤 + 三次救急ダミー + 療養病床稼働病床数, data = Dataset)

Residuals:
残差・・・回帰式と実際の値の差
Min 1Q Median 3Q Max
-60.922 -8.382 2.805 12.928 65.277

Coefficients:
係数
Estimate Std. Error t value Pr(>|t|)
(Intercept) -26.21490 4.60007 -5.699 2.83e-07 ***
DPCダミー -16.44263 7.57930 -2.169 0.033550 *
医師非常勤 4.22476 0.54799 7.710 7.38e-11 ***
一般病床稼働病床数 0.07901 0.05768 1.370 0.175266
看護師常勤 0.23939 0.06251 3.830 0.000282 ***
三次救急ダミー 75.94378 18.32295 4.145 9.64e-05 ***
療養病床稼働病床数 0.01228 0.04298 0.286 0.775888
---
Signif. codes: 0 '***' 0.001 '**' 0.01 '*' 0.05 '.' 0.1 ' ' 1

Residual standard error: 21.85 on 68 degrees of freedom残差のSE
Multiple R-squared: 0.9209, Adjusted R-squared: 0.9139決定係数
F-statistic: 131.9 on 6 and 68 DF, p-value: < 2.2e-16


> vif(RegModel.1)多重共線性
DPCダミー 医師非常勤 一般病床稼働病床数 看護師常勤
1.918861 1.857806 11.134663 11.433288
三次救急ダミー 療養病床稼働病床数
2.025345 1.292396

> ###variance inflation factors

> multireg.table <- NULL

> multireg.table <- cbind(res$coefficients[,1], confint(RegModel.1), + res$coefficients[,2:4])

> colnames(multireg.table)[1] <- "Estimate"

> colnames(multireg.table) <- gettextRcmdr( colnames(multireg.table))

> multireg.table
回帰係数推定値 95%信頼区間下限 95%信頼区間上限 標準誤差
(Intercept) -26.21490127 -35.39420344 -17.03559910 4.60007271
DPCダミー -16.44262729 -31.56687549 -1.31837909 7.57929525
医師非常勤 4.22475658 3.13125321 5.31825996 0.54799319
一般病床稼働病床数 0.07901117 -0.03609184 0.19411418 0.05768219
看護師常勤 0.23938658 0.11465573 0.36411744 0.06250704
三次救急ダミー 75.94378160 39.38091222 112.50665097 18.32294595
療養病床稼働病床数 0.01228397 -0.07347865 0.09804659 0.04297868
t統計量 P値
(Intercept) -5.6988015 2.833414e-07
DPCダミー -2.1694137 3.355012e-02
医師非常勤 7.7095057 7.382230e-11
一般病床稼働病床数 1.3697673 1.752659e-01
看護師常勤 3.8297540 2.821121e-04
三次救急ダミー 4.1447364 9.636654e-05
療養病床稼働病床数 0.2858154 7.758884e-01

第13回統計分析(3)ロジスティック回帰モデル

到達目標
13−1 ロジスティック回帰分析が行えるようになる
13−2 変数選択について理解する
利用するデータ
nmumedinfo2020_13.csv
全部投入したのでサンプル数に対して変数が多いです.
VIFも10超えてますよね
> anova(GLM.3, GLM.null, test="Chisq")
Analysis of Deviance Table

Model 1: 急性期ダミー ~ 医師常勤 + 医師非常勤 + 看護師常勤 + 救急受入件数 +
作業療法士常勤 + 三次救急医療施設の認定の有無 + 診療放射線技師常勤 +
二次救急医療施設の認定の有無 + 薬剤師常勤 + 理学療法士常勤 +
臨床検査技師常勤
Model 2: 急性期ダミー ~ 1
Resid. Df Resid. Dev Df Deviance Pr(>Chi)
1 62 37.552
2 73 101.719 -11 -64.167 0.000000001545 ***
---
Signif. codes: 0 '***' 0.001 '**' 0.01 '*' 0.05 '.' 0.1 ' ' 1

> vif(GLM.3)
医師常勤 医師非常勤 看護師常勤 救急受入件数 作業療法士常勤 三次救急医療施設の認定の有無 診療放射線技師常勤 二次救急医療施設の認定の有無 薬剤師常勤
23.483674 2.773281 22.775232 4.157840 3.761445 1.000071 7.301649 2.093398 6.628429
理学療法士常勤 臨床検査技師常勤
5.008678 7.675698

> ###variance inflation factors
> odds <- NULL
> odds <- data.frame(exp( summary(GLM.3)$coef[,1:2] %*% rbind(c(1,1,1), 1.96*c(0,-1,1))))
> odds <- cbind(odds, summary(GLM.3)$coefficients[,4])
> odds <- signif(odds, digits=3)
> names(odds) <- gettextRcmdr(c("odds ratio", "Lower 95%CI", "Upper 95%CI", "p.value"))
> odds
オッズ比 95%信頼区間下限 95%信頼区間上限 P値
(Intercept) 4.79e-01 0.0942 2.440 0.37600
医師常勤 1.85e+00 1.1400 3.010 0.01300
医師非常勤 7.41e-01 0.4830 1.140 0.17100
看護師常勤 8.97e-01 0.8320 0.967 0.00481
救急受入件数 1.00e+00 1.0000 1.010 0.03940
作業療法士常勤 1.13e+00 0.9130 1.390 0.26900
三次救急医療施設の認定の有無[T.有] 1.60e-16 0.0000 Inf 0.98700
診療放射線技師常勤 1.61e+00 0.8190 3.170 0.16700
二次救急医療施設の認定の有無[T.有] 9.95e-01 0.0949 10.400 0.99700
薬剤師常勤 9.01e-01 0.4330 1.870 0.78000
理学療法士常勤 8.98e-01 0.7980 1.010 0.07500
臨床検査技師常勤 1.11e+00 0.5520 2.240 0.76500

ステップワイズについて
ぞれぞれの変数がオッズに寄与しているか見るのであれば,変数選択は考えに基づき行うべき
与えられているデータの中で予測式を作る場合,アルゴリズムに基づき選択する手法
変数選択を自動に行う・・・専門領域における考え方での変数選択ではない.あくまでも数式モデルとして
AIC,BIC等に関する話は以下
Vol.41 No.7(経営の科学 オペレーションズ・リサーチ 1996)
http://www.orsj.or.jp/~archive/menu/03_41.html#vol7
AICとMDLとBICを参照のこと
AICによるステップワイズ
> odds
odds ratio lower .95 upper .95 p.value
(Intercept) 0.218 0.0642 0.737 0.01430
医師常勤 1.830 1.2700 2.650 0.00126
看護師常勤 0.911 0.8570 0.967 0.00241
救急受入件数 1.000 1.0000 1.010 0.00430

医師と看護師両方入ったモデルになってしまっている

第14回統計分析(4)生存率

到達目標
14−1 EZRで生存率に関する分析ができる
生物統計学該当回を参照のこと
<参考文献>
生存時間データ解析と比例ハザードモデル(中澤 秀夫 日本医科大学医学会雑誌)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/manms/11/1/11_29/_article/-char/ja/
用いるデータ
nmumedinfo2020_14.csv
結果

disease=a
time n.risk n.event survival std.err lower 95% CI upper 95% CI
1 20 2 0.9000 0.0671 0.65603 0.974
2 18 1 0.8500 0.0798 0.60379 0.949
3 17 3 0.7000 0.1025 0.45055 0.853
7 11 1 0.6364 0.1112 0.38132 0.809
8 9 2 0.4949 0.1235 0.24420 0.704
12 7 2 0.3535 0.1222 0.13609 0.582
13 4 1 0.2652 0.1194 0.07572 0.505
14 3 1 0.1768 0.1074 0.03187 0.418
17 2 1 0.0884 0.0824 0.00578 0.319
21 1 1 0.0000 NaN NA NA

disease=b
time n.risk n.event survival std.err lower 95% CI upper 95% CI
3 25 1 0.960 0.0392 0.7484 0.994
5 24 1 0.920 0.0543 0.7164 0.979
6 23 1 0.880 0.0650 0.6726 0.960
8 22 1 0.840 0.0733 0.6281 0.937
9 21 2 0.760 0.0854 0.5420 0.884
13 18 2 0.676 0.0945 0.4542 0.823
14 16 3 0.549 0.1012 0.3343 0.720
15 13 1 0.507 0.1019 0.2971 0.683
16 12 2 0.422 0.1009 0.2267 0.606
17 10 1 0.380 0.0992 0.1936 0.565
18 8 2 0.285 0.0945 0.1217 0.473
21 6 3 0.143 0.0749 0.0366 0.317

N Observed Expected (O-E)^2/E (O-E)^2/V
disease=a 20 15 8.55 4.87 7.63
disease=b 25 20 26.45 1.57 7.63

Chisq= 7.6 on 1 degrees of freedom, p= 0.006
nmumedinfo2020-1401.png(10569 byte)


> cox.table
ハザード比 95%信頼区間下限 95%信頼区間上限 P値
disease[T.b] 0.4035 0.2009 0.8105 0.01076
用いるデータ2
nmumedinfo2020_14b.csv